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あなたに会えたから 18
莉音side
その後はただ我武者羅に走り続けた
たまの休みにはなずなさまや兄とも会ってはいた。
見る度笑顔が増えていくなずなさまとアホみたいに鼻の下を伸ばしてる兄を交互に見ながら苦笑するのはもはや定番だ
「ねぇねぇ莉音」
「ん?」
「そろそろいい人いないの?」
「まだそんな余裕無いですよ。仕事で手一杯…」
「またまた…仕事は全くもって順調じゃないか。それにお前は引く手数多だろう?先日も秘書が嘆いていたぞ。ことごとく交際の申し込みを断っていると…いい話もあったそうじゃないか」
「俺だって兄さんみたいに自分で好きな人見付けたいし向こうから言ってきてくれてもこっちに気がないのに優しくすることは逆にあんまりでしょ?」
「莉音モテるのに…」
「五月蝿いです。俺はあなたみたいに器用ではありませんから」
「…」
「何?なずなさん」
「何?なずな」
「あ…声揃った…二人とも相変わらず仲良いなと思って」
「そういやお前の初恋の人ってどうなってるの?」
「何ですか?それ?今聞く必要どこにありました?」
「その人が忘れられなくて次の恋ができないのかなって」
「初恋なんて…もう20年以上も前のことですよ?そのあと何度恋をしてきたと思ってるんですか。そんなに乙女思考では無いです。幼い頃のいい思い出の1つではありますが。その人が幸せであればいいなとは思うけれど。それ程度のことですよ」
「どんな人だったの?」
本人に聞かれるとは思いもしなかった…
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