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あなたに会えたから 22

莉音side 「で?思いつめたような顔してどうしたの?」 気になることを聞けば桔梗は目を伏せた。 無理に聞く必要はないので本題を話した 「いいにくいことか…わかった。話す気になったら教えて。あ…そうそう。会ったら聞こうと思ってたんだけど桔梗のデビュー曲って俺と母さんのこと?」 「そうだよ。俺に夢をくれた人達…何かで返したかった」 「ありがとう。ちゃんと届いたよ」 嬉しかった。忘れないで居てくれたことが…俺と母さんを思ってくれていたことが 「良かった…」 その笑顔でさえ愛しい…変わらない… 「…あの頃のままだな…良かった…」 「え?」 「あの頃のまま…真っ直ぐであったかい」 「でも…俺はもうあの頃の俺じゃないよ…俺…」 また目を伏せてしまった桔梗の言葉を待った。 どうしてあんな顔をしていたのか苦しそうにゆっくり話し、話し終えたら涙を流していた。 桔梗は人より不器用なだけ…人より少し間違っただけ。桔梗はまたやり直せるから大丈夫。 「そんなことがあったんだね。でもさお前は反省したんでしょ?あの二人ならわかってくれるよ。あの子たちは昔から器が大きいから」 あいつらのいいところはたくさん知っているから…あいつらなら笑って許してくれていい友人になってくれるはず 「だから必ず話せる時が来るからその時にきっちり謝ったらあの子たちなら笑って許してくれるよ。時間がかかってしまうかもしれないけれど。桔梗が今できることはそのこと忘れずに仕事していくことかもね…ほら…泣かないの…もう…しょうがないな…」 泣き続ける桔梗を抱き寄せた。落ち着くまでそうしていた 「落ち着いた?」 「うん…」 「今日はもう遅いし泊まっていきな。明日は仕事?」 「休み…」 「俺も休み。いっしょにどっかいこうか」 「いいの?」 「いいよ」 桔梗が笑ってくれるといいな

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