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あなたに会えたから 23

翌日起きたら朝食が用意してあった。 使用人の人が作ったのかな? 「おはよ。桔梗。お前の口に合うといいけど」 「これって?」 「俺が作ったから味の保障はありません」 「え?莉音が作ったの?」 「そうだよ。毎日作ってる」 「そうなの?」 「俺さ、ごく普通の家庭で育ったから高級な料理が苦手でさ。自分の好きなようにしたいんだよね」 「そっか」 「残念?桔梗はあれだけ人気だしいいもの食べてるんだろ?」 「俺も高級なのは苦手だから自炊することの方が多いよ」 「今度お前の手料理食べさせてよ」 「いいよ。でも社長さんだし忙しいだろ?」 「お互い様でしょ。連絡先交換しておこうか?」 「うん」 食べ終わり出掛けた 「ここ…」 「お前と俺が初めて出会った場所」 「変わってないね…」 「そうだな」 ここが始まりの場所…莉音に出会って莉音のお母さんの言葉で決意して手にしたこの道… 辛いことも苦しいこともたくさんあったけど…でも楽しいことが一番多くて… 俺は歌はもうやめられないところに来てしまった。 これから俺がすることは… 傷つけた人たち…待っている人たちの心に届くものを作り続けること…それしかない…

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