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あなたに会えたから 27
莉音と会えた日から数日。事務所が何やら騒がしかった
何事かと聞いてみれば朝陽さんが倒れたと聞いた。
何があったのかはわからないけど…大丈夫かな?
心配で今何故か事務所で休んでると言う朝陽さんのもとへ向かうがドアを開けることはできなかった。
立ち尽くしていると相馬さんが怖い顔で駆け寄ってきた
「そこで何してる」
「相馬さん…華陵院さんが…倒れたって聞いて…心配で」
「今眠ってるからそっとしておいて」
「…あの…大丈夫なんですか」
「もう大丈夫だと思う」
それを聞きホッとしてその場を後にした
あんな顔するのは俺のことまだ警戒しているんだろう
もう何もしないのに…でも仕方がない…
倒れた朝陽さんが元気になりますように…そんな思いで曲を書いた
それから朝陽さんは仕事に復帰した。それと同時に相馬さんとよりを戻したのだと聞いた。
過去に付き合っていたことは知らなかったがとてもお似合いだと思った
でももう一人のあの人は大丈夫なんだろうか?
あの人恋人って言ってたのに…
「霞くん」
驚き振り返る。まさか朝陽さんから声を掛けてもらえるなんて思っていなかったから。
その隣には相馬さんがいた
「霞くん。ありがとう。心配してくれていたんでしょ?せいくんから聞いた。心配かけてごめんね」
「いえ。元気になったのなら良かったです」
「あんな態度とって悪かった…心配してくれてたのにごめん」
相馬さんに頭を下げられて呆気にとられる
「いえ。俺の方こそすいません。そんな態度になってしまったのは俺に元々原因があったのだから相馬さんは何も悪くありません」
「霞くん。凛さんが今度の曲のデモテープ聞かせてくれた。あれってもしかすると僕たちのために…」
「その…俺…言葉にするのって苦手で…あんな形ですいません」
「嬉しかったよ。ありがとう。これからも応援してるね」
「はい」
「ところでさ。立野さんって知ってる?立野 莉音さん」
「はい。俺がこの道に進むきっかけになった人です」
「そうなんだね。そのお兄さんと僕知り合いなんだけど霞くんに会いたいって言っていて。会ってみてくれない?」
「お兄さんが?何だろう…?」
近付くなとか言われるかな…
「わかりました」
「次のオフはいつ?」
予定を伝えると朝陽さんの連絡先を渡してくれた
「またわかったらこれから連絡するから霞くんのも教えてくれる?」
「あの…あんなことしたのに…連絡先を教えたりしていいんですか?怖くないんですか?」
「何?何かされちゃうの?僕」
「いえ。しませんけど…」
「霞くんはちゃんと謝ってくれたしもう変なことしないって思ってるから教えることに不安はないよ」
「俺のも渡しとくね」
「え?」
「俺の本業はデザイナー。霞くんのために作りたいものがあるんだ。出来たら使ってくれないかな?」
「え?いいんですか」
名刺をもらって驚いた。かなり有名なブランドの代表って書いてあるから。こんなに若い人があのブランドの代表なんて恐れ多い…
「そんな固くならないで。俺が勝手にやりたいだけだから」
「あの…あの…あ…ありがとうございます」
二人とも顔を見合わせて優しく笑いかけてくれた
莉音の言う通りだ…
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