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あなたに会えたから 31

莉音side 「莉音、結婚おめでとうございます。それなら言ってくれれば良かったのに。俺もお祝いしたい」 結婚おめでとう?まさかあの縁談の話ししたのか?兄さんは了承すると思っている? 「違うって」 「今度お祝い届けるね。じゃあ俺はこれで」 「桔梗」 振り返らず立ち去る桔梗をおいかけられなかった… あの顔は…もしそうだとしたら…俺は… 「これで桔梗くんが解放された」 「解放って…」 「言ったでしょ?傷は浅い方がいいって。こんな状態でも莉音は桔梗くんを引き留めなかった。それが答えでしょ。桔梗くんはとてもいい子。すぐに莉音なんかよりずっといい人見つかって結婚だってして家族だって持てる。莉音のことなんてすぐに忘れられる。莉音も桔梗くんから解放されて一石二鳥じゃないか」 「なずなさん…何言って…」 「じゃあ気持ちに答えられるの?」 「それは…」 「そういうとこ嫌い…自分だけいい人なんてずるい。桔梗くんが可哀想。あんなに莉音が好きなのに…」 「莉音。あの縁談断っても構わないがそれ相応の理由がいる。先方の断る理由の条件はただ1つだ。実際にお前に想い合っている相手がいてその人と会わせること。それがいないなら受ける」 「それに桔梗くんを利用しようとしてたでしょ。そんなの許せるはずない。それが今日会ったことで確信に変わった。莉音は気のない人にそう思わせるのは酷いと自分で言った」 「俺は…」 「期日は一週間。何もなければその翌日入籍。その翌月には披露宴。逃げ出しても構わないがお前の持つ社員たちは路頭に迷うことになるからな。俺のところで全員請け負うのは無理だ」 「そんな条件なんておかしい。何で俺だけ…」 「俺もそう思っている。でもこれは代々受け継がれてきたものだ。先方はお前のこと仕事のパートナーとしてとてもお前を気に入っている」 「向こうだって仕事のパートナーとして気に入ってるだけで俺と結婚なんておかしいって思ってるよ…きっと」 「いや。それはない」 「そんなの…」 「諦めたら。本当に好きな人がいない莉音には無理でしょ。向こうの人…夕燈さんもとてもいい人で美人さんだったしきっと好きになれるよ。君にはよくお似合いだよ」

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