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あなたに会えたから 33
莉音side
新作料理と店内改装の打ち合わせで会うことになっていたので今日はクローズされている夕燈さんの店に向かう
「お疲れ様。莉音」
「お疲れ様です。華陵院さん」
「それやめて…きもちわるい…」
「朝陽と同じこと言いますね」
「兄弟だからね。二人の時くらい名前で呼んでよ」
その後打ち合わせも終わり談笑する。
「夕燈さん、あの縁談話納得してるんですか?」
「うん。俺はね。俺はずっと莉音好きだし。莉音見た目もいいし性格もいいし仕事もできるし申し分ない。それに莉音といるときは素でいられるし俺は願ったり叶ったりだよ。でもさやっぱり恋人がいる人ってなると相手の人に申し訳ないからあの条件なんだけどさ。俺だって鬼じゃないし」
「夕燈さんは俺と…」
「ん?キスできるか?とか?その先もできるか?とかの話なら出来るよ。俺はどっちもいけるしどのみち子作りはしないとならないし。なんならやってみる?」
「いやいや。ここでしませんけど」
「ここじゃなかったらいいの?」
「そういう問題じゃ…」
「冗談だよ。お前の性格上好きな人じゃないと結婚なんて真っ平だって思ってるんだろうけど逆にそうじゃないからうまく行くことだってあるんじゃない?結婚して、もし莉音に好きな人出来てその人の元にいきたいって言うんなら止めないよ」
「それでいいんですか?」
「俺が俺でいられる人は限られてるから」
「俺何もしてませんけど」
「それがいいんだよ。楽なの」
「期日はもうすぐだけど気持ちの整理はついた?霞くんのこととか」
「桔梗は…俺のこと好きだったみたい…でも俺は…」
「そんな気持ちはない?霞くんのためにも身を固めた方がいいかもよ。まだ彼若いし…」
「でも…何か引っ掛かって…この話し聞いてた桔梗に違うって変に焦って言い訳しようとしたり…」
「お前は酷い奴だな…桔梗くんとさっき俺と話したようなことできる?想像してみ?自分がしてるとこと桔梗くんと他人がしてるとこ。ついでに俺としてるとこ」
「想像って…」
「ほら。やってみ?」
…素直に想像してみる…
「で?どう?誰のこと思ってた?」
「…」
「ほら。桔梗くんに連絡しな」
でも数日…桔梗とは連絡が取れなかった。仕事が忙しい?体調が悪い?他の誰かと一緒?
ぐるぐるまわる考えが俺を惑わす…その間も仕事で夕燈さんに会ったりした。
夕燈さんがふざけてキスしてきたこともあった…押し倒されたことも…でも…それ以上は出来ない…
俺の憧れの先輩。確かに高校の頃好きだった。
告白なんて出来なかったけど…いつも笑ってる彼のことが好きだった。なずなさんのことをその間は忘れられた。
でも…今は…今よぎるのは桔梗だから…会えないかもしれない…でも…
「いってらっしゃい。うまくいくといいねぇ。俺も他当たらないとな」
「すいません…じゃまた」
「はいはぁい」
桔梗の自宅へ急いだ…
「はぁ…フラれちゃったな…莉音…好きだよ…君には伝わってないけどね」
そんな想いを持ってるなんて俺は知らなかった。
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