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あなたに会えたから 34
「莉音?ここで何してるの?」
「おかえり。桔梗。お前を待ってた…」
「上がって」
「お邪魔します…」
何で莉音がここに…何で…結婚するから連絡しないでとか?…大丈夫…もう…笑える…笑って祝える…大丈夫…
「桔梗ごめん」
何が起こったのか一瞬わからなくて…
え?何で…抱き締められてるの?…
「お前が好きだ…他の人に渡したくない…」
「え?…何で…結婚するって…何で…」
「ごめん…俺自分の気持ちに全然気づいてなかった…俺はお前のこと…初めてあったときはまだ子供だったしあり得ないと思った…再会したときも俺なんか相手にされる訳無いって知らず知らずのうちに気持ちに蓋をしてた…俺…本当にわからなかった…でもお前とあの日から連絡とれなくてずっとずっとお前のこと考えてた…結婚の話しは違うって言い訳探してた…」
「莉音…待って…意味わかんない…何で…?」
「あの縁談のことだけど…あれはなかったことにできるんだ。条件が揃えば…」
「条件?」
「本当に想い合っていると解る恋人と会わせること…」
あぁ…断るために利用しようとしてるのか…そうだよね…莉音が俺を好きなはずない…俺が莉音が好きだから…
「いやだ…断るための口実で利用されるなんていやだ…だったら他を当たればいい…俺は莉音が好きだから…だからいやだ…ほんとに好きな人が出来たら捨てられるってわかってるのにそんなのいやだ」
「違う。そんなんじゃない…」
「やめて…帰ってよ…諦めさせてよ…帰って」
「ごめん…」
唇で言葉を止められる…
「好きなんだよ…桔梗がいい…お前じゃなきゃいやだ…」
「やだ…やめて…」
涙が止まらなくて…
「桔梗…ごめん…好きになってごめん…信じられるわけないのもわかってるのに…でも桔梗がいい…」
無理矢理手を引かれ車に乗せられる。向かった先はライトもついていないレストランだった
「もしもし。夕燈さん。店いる?桔梗連れてきた」
すぐに扉が開かれた
「いらっしゃい。桔梗くん」
「…?」
「好きな子泣かせたの?莉音。酷い男だねぇ」
出てきた人は美人でどことなく誰かに似ている…
「華陵院 夕燈です。朝陽の兄だよ。同じ事務所だよね?」
「初めまして…霞 桔梗です」
「まぁ外じゃ何だし入って?」
何が何だかわからない…
「京介さんとなずなには連絡した?」
「いえ」
「じゃ俺がしてくるからちょっと待ってて」
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