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灯火 19

「はぁ…はぁ…朝陽っ…っくっ…はぁ…」 俺…何やってるんだろう… こんなこと今までしたことなんてなかった…頭を抱える… どんなに焦がれても朝陽を汚しそうで出来なかった… 美那を抱くときだって朝陽を思ったことはなかった…ちゃんと美那を抱いていた… それなのに…たった一度のことで俺は夕燈さんの朝陽にどっぷり浸かってしまったようだ… 今別れたばかりなのに…もう会いたい…会って抱き合いたい…欲しくて堪らない… ここにいるのが悪いのか?わからないけれど… 急いで部屋を片付け自宅へ戻る 着替えることもせずにベッドへ沈んだ… 目を閉じると朝の情景が浮かび熱を持つ自分に嫌悪感を抱いた… 何で…?どうしてしまったんだろう…? 会いたい…会いたい… ここでもまた…自分の手を自分の物で汚す… 涙が零れた… 「会いたい…」 気付けば眠っていて久しぶりに長いこと眠っていたようだ 朝陽が星夜とよりを戻してからあまり長く眠れなくなっていた。 疲れが溜まりすぎて眠れないのだろう…そう思っていたが… 考えたくない現実に頭をふる… 「そんなはずない…俺はちゃんと…」 考えたくなくて冷たいシャワーを浴びた… 有り得ない… どう過ごしていたかわからない…気付けば夕燈さんを迎えに行く時間が迫っていた やはり会わないでおこうか…でも… 「夕燈さん。お疲れ様です」 この時には俺は…もう…少しずつ少しずつ…確実に…底無し沼に足を踏み入れていた…このままでは…もう…

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