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灯火 28

夕燈side 仕事が終わり店を出てから十夜に連絡しようと先に鍵を閉める ラストは俺と藤だけだから先に藤を出して外に出た するとすぐに男たちに囲まれる 昼間の奴等だ 藤が前に出ようとしたのを止め藤を背に隠す 「いかがされましたか?」 「ここの料理で一緒にきていた友達が食中毒を起こしてね」 「あんたたちいい加減に…」 「藤。大人しくして」 「今日はもう遅いので明日病院へ伺い ます。事実確認させて頂いた後 謝罪させていただきそれ相応のお見舞い金もお渡しいたしますので病院を教えていただけますか?」 「裏に車停めてあるからこれから来てくれる?」 「この時間であれば面会も出来ないのでは?」 「すぐに向かうのが礼儀だろ。じゃないと…」 表通りへ向かって大声を出す 「ご通行中の皆様聞いてください。この店は…」 「わかりました。これから向かえばいいのですね。オーナーである私の責任でございますので私のみで同行させていただきます。これを連れていくことでまたストレスになると申し訳ないので。藤。帰宅しなさい」 「でもっ…食中毒なんてあるわけ…」 「藤。言うこと聞いて…十夜がここに来るかもしれない。今日はこられないと伝えておいて」 耳打ちをする 「わかりましたか?」 「はい…」 食中毒なんてそんなこと…。 だったら他にも同じ人がいてもおかしくない。でも連れの人たちも今日来店していた人たちも誰一人そういう症状を訴えてはいない これは、嘘だ。わかっているけれどここで出鱈目を言われてしまうと店の評判は落ちる。 飲食店ではそれは致命的でここだけではなく系列店全てが存続できなくなる可能性だってある。 食中毒なんてない。ちゃんとした証拠を用意しなければ… 用意したとしても今の世の中嘘が一気に広がる時代だ。出鱈目も甘く見ているとただじゃすまなくなる 「よろしいですか?ではご一緒させていただきます」 「オーナー…」 「藤。頼んだからね」 何をされるか大体検討はついている。 十夜…ごめん…お前に言われたのに…また汚される…ごめんね。心配してくれていたのに…

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