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灯火 31

明日で一緒に住み始めて半年。歪んだ関係を始めた時から数えるともう一年半になっていた。 本当は一緒に住む少し前から夕燈さんのことを朝陽の代わりに見られなくなっていた。 体を重ねる度にちゃんと夕燈さんってわかっていた。 でも夕燈さんはそんなこと望んでいないかもしれない…そう思うと朝陽を抱いている振りをしていて…苦しかった… でも…夕燈さんが今の関係が心地良いならそれでもいい。 抱きたいときは抱き合い何もしないでいいなら無理に抱き合わなくて良い。一緒の時間を一緒の空間で過ごせれば良い …この心地良い関係はやめたくない… 明日は少し遠出をして正直な気持ちを話そうと思っていた… なのにこんなことが待ち受けているなんて… 藤さんや月には恨みなどないが… 2人と別れた後少しして月さんから連絡が来てあるビルの名前を教えてもらった。それと同じくして朝陽からも同じビルへ夕燈さんが連れていかれたかもしれないという連絡が入った。今一緒に住んでいる俺に連絡をくれたのだろう。 二人もこれから来ると行ってくれたがそれは断った。二人を巻き込みたくないのもあるが、夕燈さんが何か危険な目に合っているのなら俺が救い出したかった。 それに大勢で動けば向こうに察知され別のところへ夕燈さんが連れていかれてしまうとまた見つけるのに更に時間がかかってしまう。そう思ったのだ ビルの中はやけに静かだった。不気味な静寂が身を包む 一階から最上階まで上がったけれど何もない… もう一度一階からくまなく探し歩くと少しだけ月の灯りとは違う明かりが見えた… 隠し扉?…そこをゆっくり押すと開き階段が下に向かって伸びていた 地下には多くの部屋があり驚いた… 檻の中に人が家畜のように入れられていたから…奥に奥に進むとドアが見える。 勢い良くドアを開けると男たちがこちらへ歩いてくる 「お客さん?まだ開けてないけど…」 そこには拘束椅子に縛り付けられ辱しめられている夕燈さんの姿があった そういうことか… 夕燈さんが拘束されているもの以外にも舞台があったり鎖が天井から下げられていたり… いつの時代かの性拷問部屋のようだ… ここは見世物小屋なんだろう… 息を吐き出来るだけ冷静に話しかける 「友人の紹介でここへ来たんだ」 男たちは疑いもせずこちらへ歩み寄る 「お客さん良いときに来たね。今日上物が入ったばかりなんだ」 「彼?」 「あぁ」 「近くで顔をみても?」 「どうぞ」 夕燈さんの目は虚ろで何も映していない。おそらく何かしら薬を飲まされているのだろう。 「いいね。個室はある?」 「えぇ」 「他の人が来ない間に少しだけ味見したいな…」 「本当はダメだけど今日はじめてだし特別にどうぞ。奥へご案内して」 「はい。では。こちらへ」 「出来ればカメラ等がない部屋がいいんだけど」 「大丈夫です。全室ついていませんから。お客様にゆっくり楽しんでいただきたいですから」 「そ。ならよかった」

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