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夕月夜

「でも驚いた…十夜と兄さんが同棲することになったなんて」 「最近一緒にいること増えたからね。別々に家賃払うの勿体無いし。何?星夜がいるのに嫉妬?」 「ちょっと驚いただけ。十夜いい男だし一緒に過ごしやすいかもね。兄さんと十夜はどこか似てる気もする」 「そう?」 「きっとうまく行くよ」 「お前に言われてもね…」 最近何かと十夜が兄さんのことを聞いてくるから何事かと思って話したらそんな話 まさかいっしょに住むことになるなんて意外だけど二人はとても気が合うんだろうなって昔から思っていた 兄弟の中でも比較的始めから仲良くしてくれていた夕兄さん。 僕と似ている雰囲気を持っていると回りに言われ続けてきて最近はもっと似てきた気がする いつも明るく笑っていて悩みなんてないだろうと思わせるその姿は時に苦しそうだと思っていた それは僕自身もだから。 笑っていればいいことあるよ。亡くなった母に言われてどんなに苦しいときも笑っていた僕の姿を夕兄さんに見ていた でもきっと十夜ならそれを溶かしてくれる。 十夜の優しさがそうしてくれる 僕と夕兄さんの違いは… 十夜は僕にはあまり弱いところなど見せない。 美那が亡くなった時以外はみたことがない。 十夜は弱音なんて吐かない。 そんな十夜を包み込むことができるのも兄さんだけだと思う。 きっとこの先二人は恋人となり一緒に過ごすことになるだろう… 夕月夜…そんなことを予感を抱いていた fin.

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