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僕らの間 4
やっと解放され急いで屋上へ向かうと愛斗が戸惑った顔をしていた
先輩が何かしたのだろうか…
「愛斗。何かあった?」
「…何もないよ」
愛斗の顔が今にも泣きそうで早く先輩から離したくて手を引いた。愛斗はまだ放心状態なのか素直に着いてきた
「愛斗。行こ」
「うん」
手を引き立ち去ろうとすると突然先輩に引き寄せられ、首元に顔を埋められた。
完全に抱きすくめられどんなに動いてもその手から逃れられない。
俺よりも大きな体。抵抗することは無駄だとわかってはいたがひたすらもがいた。何がしたいのか全くわからない…睨み付けてみても力が緩むことはない
もがいていると愛斗の手が離れてしまう…
「ちょっと…先輩何やってるんですか」
戸惑い声を荒らげる。
「嶺…いい匂い…」
「は?」
本当に意味がわからない
「お前に初めて会った時から気になってしょうがなくて…」
耳元で囁かれる戸惑いと愛斗の感情と色んなものが頭の中をグルグル…考えてると動けなくなった。
「ねぇ…嶺…」
今まであまり聞いたことのない低く甘い声。脳がしびれそうな声…この声に縛られ身動きがとれない…
「俺のものになってよ…」
そして耳朶を舐め上げ歯を立てられ体中が熱を持つ…こんな感覚知らない…
「あっ…ヤメっ…」
自分から出た甘ったるい声に身震いした…。
「嶺…可愛い…もっと声聞きたいな…」
今度は無理矢理体を反転させられ見つめ合う形にされる。髪と眼鏡であまり見えなかった瞳が近くで見ると吸い込まれそうなくらい綺麗で息を飲んだ。愛斗をちらりと見ると目に涙を溜めこちらを見ていた。
愛斗のそんな顔見たくなかったし見つめあっている俺を見られたくなかった。それなのに愛斗はこちらをじっと潤んだ瞳で見続けていた
「嶺…」
相変わらず甘い声で俺の名前を呼びながら目の前のひとは舌舐めずりした。
顔がどんどん近づく…逃れられない…先輩の顔が見たくなくて目を閉じる…その時だった。ほんの少しで唇が触れそうになるその時俺を抱き締める力が緩み距離が離れていく…
そっと目を開けると小さな体を割り込ませた愛斗がいた
「何?邪魔しないでよ。宮部」
「嶺はダメです!」
「俺が誰に好意持っても関係ないだろ」
「嶺はダメです!嶺は誰にも渡さない」
「はぁ?だってただの幼馴染で特別な感情ないならいいじゃん」
「ダメったらダメです」
「じゃあ何?お前は嶺とこんなことできる訳?キスとかそれ以上とか」
二人が睨み合いながら言い争っている。何も言えなくて呆然と立ち尽くしていた
するといきなり愛斗が 俺の首にぶら下がり顔を引き寄せ触れるくらいのキスをした
「できますよ。もっと沢山できます。他の人がするくらいなら俺がします!誰にも触らせません」
愛斗が何言ってるのか理解が追い付かなくて未だ混乱していた
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