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僕らの間 14

それから凜ちゃんがしつこく声をかけてくることはなかった そうして時が過ぎ文化祭の季節がやって来た 俺たちは女装喫茶をすることになった。 理由は簡単。今や学園のアイドルとなった愛斗の女装姿をみたいからだ みんな気付いていないようだがそれをするということは皆がその格好をするということだ 正直気持ち悪い…だが男子校なので面白がって来店するものは多いだろう。 現に過去行われた文化祭の人気ランキングは毎年女装喫茶が上位に入っている 2年がするというのは暗黙の了解でもはや恒例なのだ 「宮部。これな」 「はぁ?!本気でいってる?これちょー短いし!!」 「大丈夫!!お前なら行ける」 「いやいや。長さは何とか我慢するけどさ。さすがにタイトはまずすぎる。もろ形でるじゃん」 「そこがいいんだろ」 「バカか?お前らバカなのか?子供だってくんだろ。さすがにダメだろ」 「ちっ…」 「こら!舌打ちすんなバカ」 愛斗とクラスメイトのやり取りを旗から見る…可愛いな…愛斗。 「望月。にやにやしてないでお前もこれ着ろ」 「げっ…マジか…」 「当然だろ」 「てか…何故チャイナドレス…」 「こういうのは背の高くてスラッとした美人が似合うだろ」 「どういう根拠だよ」 「いいから来てみろって」 太もも辺りまでガッツリスリットの入ったもの。絶対こいつの趣味だろ… まぁ着ては見るが… 「やばっ…望月…エロっ…」 「嶺にさわんないでよ。近すぎ。離れて…」 「別にいいじゃん。俺が作ったんだから…」 「イヤ。俺の嶺に触らないで。でも…良い仕事してる…俺のイメージ通り…嶺可愛い」 「愛斗…まて…今何て…」 「嶺可愛い」 「いやいや。そこじゃなくて…イメージ通りって…」 「あぁ。嶺の3サイズとかバランスとかもろもろ小松くんに伝えてお願いして作って貰ったの。小松くんかなり器用だし将来服作りたいって言ってたからその練習にと…」 「じゃこれは…」 「ん?俺が着せたかったから小松くんにお願いしたの」 「こわっ…」 俺たちの関係は既に学園では公認されている 愛斗の溺愛振りはもはや皆が称賛するレベルだ 「流石だね!!小松くん。お礼は何が良い?」 「二人の生写真」 「オッケ!」 「何に使うんだよ……」 なんやかんやあったけど結局俺と愛斗はメイド服を着ることになった そして当日を迎える メイクも女の子組とお笑い担当組がいて案外面白そうだ 俺と愛斗は綺麗に化粧が施され愛斗はもう女にしか見えない 「可愛い…愛斗」 「嶺の方が可愛い…そこら辺の女の子より美人…」 「こらぁ!バカップル。そんなこと言ってないで仕事しろ」 「うわっ…化け物かと思った…怖い怖い」 「うるせー俺はいいんだよ。客寄せしてこいよ!!」 「はいはぁい」 こうして文化祭の幕が開いたのだった。

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