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明けましておめでとうございます
「朝陽さん。明けましておめでとうございます」
「おめでとう」
そわそわしてる朝陽さんはやっぱり可愛い
小型犬みたい…戌年だけに…
「あの…せいくん」
「はい?」
「えっと…初詣…行きたい」
「直ぐに囲まれちゃいますよ?」
「だよねぇ」
あっ…耳見えた…しゅんってなってる…
「ふはっ!」
「せいくん?」
可愛い可愛い…この人可愛い
悶絶してる俺を心配そうに覗き込む
「もう…可愛い…」
「え?何が?」
ん?…何か…あれ…目の錯覚?今目の前で起こっていることに首をかしげながらそっと触れる
「んあっ…何?」
「朝陽さん…これ…」
「え?何?」
「耳生えてる…」
「え?そんなことあるわけ…えーっ!!!何で…?え?」
朝陽さんの頭の上に垂れた耳が生えていた。朝陽さんを上から下まで見ていくと…
「えーっ!!!しっぽまで生えてるんだけど…」
「え?え?何?何がおこったの?」
二人でプチパニック…何でこんなことに…
「これじゃあ…どこへもいけない…」
大きな目からこぼれ落ちそうなほど涙が溜まっていく…
「うわぁ…でも…」
朝陽さんには悪いが可愛すぎる…
「どうしよ…どうしよ…せいくん…」
「どうしましょ…」
考えても仕方ないので普通に過ごすことにした。宮部が家に来たいと言ったけれどうまく断る
「どうしよー…」
どうしよ…可愛い…そっと耳に触れると甘い声を漏らした朝陽さんを抱きすくめる…我慢できるはずもない…
「もう…せいくん…僕本当に悩んでるのに…」
「でも気持ち良さそうでしたよ?」
「だって…」
でもこのままだと仕事に支障が出てしまう…
trrr
「電話…あ…十夜から…」
「朝陽。明けましておめでとう。」
「おめでとう」
「今どこ?」
「家だけど?」
「お前さ何かおかしなことになってない?
」
「おかしなこと…」
「耳生えたり…」
「え?」
「…まさか…お前もか…」
「も…って…夕兄さんも?」
「あぁ。可愛すぎて理性が持たない…」
「…っ、ちょっ…せいくん…」
「あ…星夜理性崩壊しちゃった?」
「ごめっ…十夜…またねっ…あ…」
その後何度仲良ししたことか…
月の光が射し込む部屋で眠る朝陽さんの顔がとても綺麗で見とれていた…
ん?…あれ?…
気付けば耳も尻尾も消えていた
なんだったんだろう…
「んっ…」
「朝陽さん。気が付きました?」
「ん…せいくん…激しすぎ…」
「朝陽さん。消えちゃいましたよ」
「あ!本当だ!よかったぁ…明後日から撮影入ってたから」
「…」
「せいくん不満そう…」
「だって可愛かったですもん」
「あ…夕兄さんはどうなったんだろう…」
「電話してみたらどうです?」
「もしもし。十夜。そう。よかった。ならまたね」
「どうでした?」
「夕兄さんも消えたみたい…なんだったんだろうね」
「ん~…あ!!昨日夕燈さんが面白そうなスパイス入ったからって作ったあれじゃないですか?…俺と十夜さんは食べなかったけど二人で食べたじゃないですか!!」
「あれ本当だったんだね」
翌日…夕燈さんと十夜さんが訪れた
「ごめんねぇ!!あーちゃん!」
「いえ。戻ったので大丈夫」
「ただのネタかとおもってたからさ…」
「誰も本当だとは思わないでしょ」
「でもさ…あーちゃん」
「はい。」
「いつもと違ってかなり燃えなかった?良かったよね…」
「はい…」
「たまにはいいかもね」
「はい」
二人がこんな話をしているなんて露知らず
俺は十夜さんと酒を酌み交わすのであった
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