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天使
緊張してうまく息が出来ない
部屋の中から苦しそうな息遣いが聞こえる
俺の横で小さな手が俺の手を不安そうに握る…
「どうぞ。お入りください」
「奏多」
「かなちゃん」
「さくら…遥菜…んっ…大丈夫だよ」
「ご主人背中擦ってあげてください」
言われるままに背中を擦る
「もう少しで会えるからね…」
「うん…」
一際大きくなった声…もうすぐ…
「産まれましたよ。元気な男の子ですよ」
奏多に抱かれる新しい命。小さくて可愛くて…自分が先に涙が出た
「はる…泣いてる…」
「かなちゃん。かえでちゃん。頑張ったねぇ」
さくらが疲れている奏多に労いの言葉をかける姿にまたも涙が止まらなくなった
数時間後 処置をして病室へ戻る
「奏多。この数日あまり寝てないんだから寝な…」
「ん…さくら…」
「なに?かなちゃん」
「顔見せて」
「うん!」
小さな手で奏多を撫でながら子守唄らしきものを歌うさくら。可愛い…
「ありがとう…眠れそう…」
「うん、おやすみ」
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