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雪の日に

雪だるまを指差しながら彼は話を続けた 「この1番大きいのがお父さん。その隣が1番上のお兄さん。これがその次のお兄さんでこっちがその次のお兄さん。今作ってるのがこの子だよ」 朝陽は雪だるまを家族に見立てて一生懸命作っていたようだった 更に彼は隣に並ぶ雪ウサギを指差しながら話す 「これが大好きなお友達。…ねぇ?もしかしてこの子?」 朝陽はゆっくり頷いた… 「僕は雪だるまを作るから十夜たちをつくってほしいってお願いしたの…これが十夜でこれが美那…」 朝陽は大きな目に涙を浮かべながら静かに呟いた… 「そうだったのか…」 早紀さんはバツが悪そうに朝陽から手を離し朝陽に向けていた視線を雪だるまに向けた… 「勝手にいなくなってごめんなさい…」 「すまなかった…でも朝陽」 「はい…」 「誰にも黙って出てきては行けないよ?皆本当に心配したんだ」 「ごめんなさい…」 朝陽の髪をくしゃくしゃと撫で目線を朝陽に合わせるため屈み込む 「ねぇ朝陽…あのさ…これ…ありがとう…」 早紀さんは少し照れたように笑った 「君もありがとう。一緒に遊んでくれて」 そういうと隣にいた少年が子供らしい笑顔で頷いた 「ねぇねぇ。これどうやってもって帰る?」 「あ…」 そこまでは朝陽は考えていなかったようだった 朝陽はまた目を潤ませた 「持てない…それに…僕だけ出来てない…」 朝陽はとうとう涙をこぼした… 「僕だけいない…やだ…寂しい」 初めて見せたその寂しそうな顔に早紀さんは困ったように膝をつき、ぎこちない笑顔を浮かべた 「よし!じゃ朝陽を作ろうか。十夜くん悪いんだけど悠紀に伝えて?ここに何か運べるものを持ってきて欲しいって」 「うん!わかった」 その姿は今も鮮明に覚えている。 早紀さんはきっと雪だるまなんて作ったことはないだろう 馴れない手つきで二人並んでしゃがみ一生懸命作っていてその後ろ姿はそっくりで親子そのものだった 嬉しくなってにやけながら父のもとへ戻り早紀さんの言葉を伝えた。 「朝陽くん嬉しそうだね」 「うん!…父さん…」 「ん?」 「…何でもない」 「帰ったら俺たちも作ろうね」 「うん!!」 すごく嬉しかった その後大きめのクーラーボックスを運んできた頃にはもうあの少年は居なくて今さら名前なんて聞いてなかったことに気付いた。 自宅に持ち帰り家の皆に謝って回りその後大きな庭に嬉しそうにすべてを並べ家族皆で並んでいるのを俺は側で見守っていた この日はちゃんと家族だった。 「あーちゃん上手だねぇ。僕は作ったことないよ」 「お友達が教えてくれたんだ」 「その子の名前は?」 「えっとね…あー!!聞いてない」 「あらら…また会えるといいね」 「うん!!」

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