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雪の日に
「朝陽さん!!雪!!すごく積もってますよ」
「ほんとだねぇ。ふふっ」
「どうしました?」
「せいくん。子供みたい」
「俺昔から雪が大好きで」
「僕も好きだったよ。そういえば僕ね一度だけ…」
朝陽さんの話を聞き終えて自分の記憶と似たところがあることに気付いた
「ねぇ朝陽さん。その公園って…」
「あぁ…それなら…こっち来て」
「?」
「あの公園だよ。」
丁度俺たちの住むマンションの裏手にあるこじんまりした公園を指差しながら笑う
「何であの公園だったんですか?」
「家から1番近くの公園には既にたくさんの子供たちがいて雪の上にたくさんの足跡がついていたんだ。
綺麗な状態の雪を見せてあげたくてこっちの公園を思い出して。
ついたら先客がいたんだけどその子は公園の真ん中に立ってただ雪を眺めていた。
公園にはその子の小さな足跡しか見えなかったからここに決めて…
綺麗な雪をどうやって見せてあげようかなって悩んでたらその子が声を掛けてくれて雪だるまの作り方教えてくれた。
かなりいびつな形になっちゃったけど楽しかった。
あの頃は本当の家族になりたくて必死だった…みんなと仲良くなりたくて必死だった…
結局あまり状況は変わらなかったけどでもあの日父と一緒に雪だるま作ったことは心にずっと残ってる。父の笑顔も…とても嬉しかったから」
「ねぇ。朝陽さん。これからいってみませんか?あの公園」
「いいの?」
「はい。仕事は今日は午後からですし」
ねぇ朝陽さん。その子が実は俺だったって言ったらどう思う?おそらく間違いないと思う。あの頃はあの公園のすぐ側に住んでいたから。あの日のことは俺も覚えているよ。俺は元々雪を見るのが大好きで何の跡もない真っ白な雪に足跡をつけるのが楽しくて…
足音がして振り返ったらビックリするくらい綺麗な人がそこにいて…
声をかけずにはいられなかったんだ
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