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雪の日に

「懐かしい…こんなに近くなのにこっちにはあまりこなかったから」 「そうですね」 相変わらず人気はなくただ静かに真っ白な地面が広がっていてでもそんな公園に一人の男性の姿があった 「あれ?あれって…」 ゆっくりこちらを振り返ったのは朝陽さんのお父さんだった 「おぉ!!朝陽!!星夜くん。おはよー」 「おはようございます。どうしたんですか?こんなところで」 「ん?懐かしい写真が出てきたから…」 「写真?」 「ほら」 「これって…」 「この日のことお前は覚えてるか?」 「はい。いつの間にこんなにたくさん写真撮ってたんですか?」 「ニコニコしながら雪だるまつつくお前が可愛すぎて…こっそり撮った。俺の書斎の壁に貼ってたんだ」 「え?そうなの?」 「ほらほらー星夜くん見て。朝陽可愛いだろ?もうかわいくてたまらなくてね」 「その頃それ聞きたかったです…それならもっと早くに…」 「ごめんなぁ。なんか恥ずかしくて…」 「まぁいいですけど」 「そうそう。星夜くん。ずっと聞きたかったんだけど」 「はい」 「あの日ここにいたのは君じゃないか?」 「え?」 「…よくわかりましたね。お義父さん」 「何か会う度そう思ってたんだけどなかなか言い出せなくてね」 「せいくんだったの?」 「俺もさっき朝陽さんに話し聞いてわかったところです。あの頃俺この辺りに住んでてこっちの公園が大好きだったんです」 「そっか」 「君たちはずっと前から結ばれていたのかもしれないね。私はとてもうれしいよ」 「僕も…せいくんで良かった。有り難う。ずっとお礼が言いたかったんだ」 「いえ。俺も楽しかったですから」 「私はそろそろ行くよ…あ!!パシャ」 「父さん!!急に撮らないでよ」 「今朝陽すごくいい顔していたから。相変わらず可愛いなぁ…」 「もう…」 嵐のように去っていったお義父さんを見送る 「そっか…せいくんだったんだ…ふふふっ…」 「朝陽さん顔崩れてますよ…」 「だって嬉しくて…」 「俺も。でもあの頃出会ってたのに時間勿体なかったなぁ」 「そうだねぇ。ずっと一緒にいられたのにね」 「まぁ今一緒なのでいいですけど」 二人で公園の真ん中にしゃがみ並んで雪だるまと雪ウサギを作ったそっとそこに置いて立ち去る 「またこうしてずっと一緒にいたいな」 「いますよ。俺もう朝陽さん離しませんから」 「うん」 「帰りましょうか。朝陽さんの仕事に支障でてもいけないし」 「せいくんも今から仕事だしね」 二人で手を繋ぎ歩き出す。 俺たちを雪だるまと雪ウサギが見守っていた fin.

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