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道標 7
「…なぁんてな。お前さ。もう海都じゃなきゃ無理っしょ?体強張ってんぞ」
「…あぁ。やっぱ無理だわ」
「たく。取り敢えずさ今日は泊めるけど早く仲直りしろよ?」
「俺…海都に知られたくない…脅してまで作ってもらってるなんて…あいつに軽蔑される…そしたら俺…生きていけない…」
「はいはい。ならどうすんの?」
「わかんね…」
「あのさ。鷹。俺たちは商品。歌って金を落とす商品なんだよ。人じゃねぇ。だからそのままでいいんじゃね?遥の曲を俺たちが歌うから売れる。売れたら金になる。そしたらファンの子たちにももっと見てもらえる。そのお陰で俺たちは生きてる」
「遥だって金になるんだもんな?いいよな?」
「お前は何も悪くねぇよ」
「あ。お前電話鳴ってるぜ?」
「んあ。ほんとだ…って…海都じゃん…」
「海都…」
「はいはぁい。なぁに?ん。いるよ。ん~…あきらめて。じゃね」
電話の向こう側で焦る海都の声が聞こえる
「海都なんだって?」
「ん?言い過ぎたから謝りたいって。心配だから早く帰って来てってさ。でも今日は帰らない方がいいだろ?お前のその精神状態じゃ、海都壊しちゃいそうだし」
「そだな…」
俺はストレスが溜まりすぎると我を忘れて散々抱いてしまう…小柄な海都を壊しかねない。ただでさえ最近は海都が動けなくなるほど抱いている。
これ以上付加は掛けたくない
「もう休みますか?良い時間だし」
「だな。んならお休み」
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