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道標 15
約束の日。俺は遥の屋敷に来ていた
次はどんな曲なんだろう?
「出来ていません。もう作りません。お帰りください」
「期限までに上がらなかったので公表しますね」
遥は何も言わず俺たちに背を向けた
屋敷の門が閉じられる…
くそっ…何で…
俺は結局例の秘密はばらせなかった…でも…最近ついたばかりの新しいマネージャーがマスコミへリークした
あっという間に噂は広がった。でもたった2日ほどで全て何もなかったかのようにピタリと報道が止んだ…
くそっ…くそっ…
思っていた以上に華陵院の力があったんだ…俺は…何をやっていたんだろう…
こんな気持ちのまま今日は相馬星夜と初めての共演だ
精一杯の笑顔で相馬星夜に声を掛けた
「相馬さん。おはようございます。今日はよろしくお願いします。
僕はあなたが目標なんです」
相馬星夜は余裕の表情で答える
「そうなんですね。ありがとうございます」
話し始めるとメンバー全員とマネージャーLuna e soleの事務所の社長がやって来た。
「Luna e soleさんの実力凄いですよね。ずっとお会いしたかったんです。僕が見習わないとならないことが沢山あります」
あの相馬星夜に誉められた…単純にとても嬉しくてメンバーと顔を見合わせた。でも次の言葉に空気がピシリと凍る…
「…ただし…以前の…ですけど」
「以前?」
「今のLuna e sole。特に遥の曲を歌い始めてからは僕にはあなた達の曲が雑音にしか聞こえません。どんなにいい曲でもそれを活かせていない。
こんなに落ちてしまうなんて…遥の曲に縛られてしまうなんて残念でなりません。
あなた達は誰が書いたものでも歌いこなせる。それだけの実力と魅力を兼ね備えている。
それなのに遥に捕らわれ自分たちを殺してしまった。努力する事を辞めてしまった。
自分達で気付いていないんですか?解る人には伝わっています。
あなた達を純粋に応援していたファンの人達は今喜んでいますか?
笑顔に出来ていますか?僕たちの仕事はみんなに夢や希望。時には生きる糧を与えているんです。
そうなれるのは人気に胡座をかいている人ではない。それが出来ないのならばこの仕事はすべきでは無いと僕は思います。
僕は1ファンとして以前の輝いていたあなた達に戻って貰いたいです。もっと輝く姿を見ていたいです。
では後程。失礼します」
わかっていたことをハッキリと目標としていた人に言われた…
その日のステージで客席を隅から隅まで見た。嫌でもわかる。相馬星夜のいっていたことが…わかってたのに…同じ気持ちをメンバー全てが思っていることが手に取るようにわかった
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