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道標 その後

あれから俺たちは今まで以上に努力した もう一度歌うことが楽しくなってきたと同時に昔からのファンの子達の笑顔も増えた 俺たちには歌以外の仕事も増え俺はもう何度か相馬さんと一緒になっている 演技はもちろん相馬さんは群を抜いてうまい 周りの共演者たちも相馬さんの演技に引っ張られ実力以上の演技力になる 本当にすごい… いつか歌でも一緒に…なんて…叶うことは難しいかもしれないけれどあの人と一緒に歌いたい思いは消えなくて… 今回も撮影が一緒だったからダメ元でお願いして見ることにした 「あの…俺…相馬さんにお願いがあるんですけど…」 「何ですか?」 「俺とデュエットしてくれませんか?」 「デュエットですか?」 「はい。一度相馬さんと一緒に歌いたくて」 「稀城さんとなんて…拷問ですか?」 「え?」 「貴方と並んで歌えるほどの器量は持ち合わせてませんよ」 「何言ってるんですか?相馬さんめっちゃ上手いじゃないですか?」 「いやいや…稀城さんには遠く及びませんけど」 「それいいじゃん!今回のドラマの主題歌誰で行くかまだ決めかねてたからぜひやってもらえないだろうか?」 監督が偶々俺たちの会話を聞いていてそう提案してくれた 「いや…僕は…」 相馬さんは一旦断ろうとしていたようだがこの監督は結構自由な人で自分が行ったことは譲らない 「よーし!決まり!」 「え??!!ちょっと!監督それは…」 断る隙もなく俺の念願はかなった

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