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揺れる 3

「失礼します」 「はぁい。どうぞぉ」 「すいません。お忙しいのに」 「どうしたの?」 「あの…僕…妊娠しました」 「そうなの!!おめでとう!!」 「あ…ありがとうございます…」 「あれ?なんか元気ないわね。何か心配事?」 「今後の仕事のスケジュールとかはどうなってますか?」 「ん~…妊活中だったでしょ?だから大きい仕事は入ってないわ。だから大丈夫よ。心配しないで」 「よかった…あの…せいくんに話してからにはなりますが…」 「え!?まだ星に話してないの?」 「はい…仕事の方が先だと思って。せいくんに相談したあと…せいくんがいいと言ってくれたら直ぐお休みしてもいいですか?」 「かまわないわよ。無理はして欲しくないし」 「場合によっては…その後引退…っていうことも…考えています」 「そう。まぁ決めるのは二人よ。無理に引き留めるようなことはしないわ。安心して。で?いつ星には話すの?」 「元々明日から旅行に行こうと思っていたのでその時に話そうと思っています」 「まぁ。何かあったら連絡してね?」 「はい」 「朝陽くん。大丈夫?」 「え?」 「少し休んでいったら?なんなら私送ってくわよ。顔色悪いし…」 「すいません…そうさせてください…」 ゲストルームに入り横になる。そして自分のお腹を触った。ここに小さな命が育ってるんだ… 急に現実を受け止めたら涙が溢れてきた…嬉しさと不安で複雑な感じだった

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