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揺れる 13
翌日。
今日は母が眠る場所へ来ていた
華陵院に入ってからこれまで会いに来れなかった…
父の運転する車に揺られながらせいくんと手をつないだまま窓の外を見ていた
「もうすぐだよ」
父さんは頻繁につぐみさんのところにも母のところにも来ていたらしい
そんなこと知らなかった
まずはつぐみさんへご挨拶をしてまた車に乗り海の見える場所へ母さんは眠っていた
「ごめんな…これまでここへ連れてきていなくて…」
「お互い忙しかったんだから仕方ないよ…僕も会う勇気…無かったし…」
「ここだよ」
「母さん…お久しぶりです…朝陽です…ずっと…来れなくてごめんね」
それからせいくんのことを紹介して赤ちゃんのことも報告した
「ねぇ。母さん。僕はとても幸せだよ。僕を生んでくれて…ありがとう…また会いに来るね」
その時爽やかな風が吹き抜けた。まるで母さんが撫でてくれてあの笑顔で笑っているかのようだった
「…あーちゃん…」
振り返るとそこには大好きだったお祖母ちゃんがいた
「お祖母ちゃん…」
「あーちゃん…立派になったねぇ…」
「お祖母ちゃんこそ…お元気そうで良かった…」
涙が溢れて止まらなくて…小さくなったお祖母ちゃんに抱き付いた…
「あーちゃん…あーちゃん…会いたかった…会いたかったよ…」
二人して涙するのをせいくんと父さんが後で静かに見守っていた…
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