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第15話

雪はそう言ったまま黙ってしまった。 自分が山王から逃げたからこうなっていることは理解できるが、この手を取る理由がわからない。 動かない雪に痺れを切らしたのか山王が更にずいっと手を差し出してきた。 「繋ぐのがいやなら担ぐまでだが」 「担ぐ?いやいや、俺荷物じゃねーし」 「ここまで聞き分けがないと、荷物同然だろう。仮にも今は授業中なんだ。さっさとしろ」 山王が溜息交じりに呆れた口調で言い放つが、山王の命令口調がどうにも受け入れ難く、雪は山王の手を顔を交互に睨みつけた。 どうしてこうも偉そうに言えるのだろう。 「お前なんかと手なんか繋がない。繋がなければ担ぐ?できるもんならやってみろってんだバーカ……っ、ひゃっ、下ろせっ!!」 悪態をついた瞬間、身体がふわりと持ちあがり、地面から視界が遠ざかる。 雪はいとも軽々と、本当に持ち上げられてしまった。 「できるもんならやってみろと言ったのはお前だぞ」 「だからって……!」 雪はじたばたと手足を動かし抵抗する。 「動くな。本当に落ちるぞ」 「落としていいから放せってば!わ、や、やだ!尻を触るな!」 「お前が暴れるからだ!触りたくて触っているわけではない!」 「どうだか!?男のくせに男の尻を触って喜ぶ奴を今までたくさん見てきたんだ。お前だって同罪だぞ!」 「ふざけるな!とにかく大人しくしろ!このままここで時間を無駄にする気か」 「だから放せってば……っ、ひあぁんっ」 雪は自分の尻を支える山王の手を振り払おうと山王の腕を揺さぶった。 その時山王の手がずれて雪のスラックスからぴょこんと飛び出るふわふわの丸い尻尾を掠め、雪はあられもない声を上げながら体をふにゃりと弛緩させた。 「なんだ……?」 「も、やだっ……、触んなってば……!」 「ここか?」 「あっ、やっ、やだっ」 山王は不思議そうな顔をしながら雪の尻尾を指先で揉んだ。 雪の体が山王の腕の中でぴくん、ぴくんと小さく跳ねる。 「気持ちいいのか?」 「ち、ちがっ……ぅ」 図星だった。雪の弱点が山王の手により暴かれ、雪は頬を真っ赤にした。 黒く長い耳の付け根も、尾てい骨に繋がる丸い尻尾も、雪の性感帯だ。 仲の良い友達ですら雪の弱い部分を知りもしないのに、山王はそこへぐいぐいと侵入する。 この状況をどうにか打破しなければと雪は潤み切った目で山王を窺い見た。

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