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第54話
「そうです。明朝、町で野菜マルシェが開かれます。それに黒兎さんを誘うんです。会長一人では不安でしょうから僕も行きます。羊ケ丘さんも誘いましょう。ですが僕達が急に誘うんじゃ警戒されるかもしれないので、仲介は屈狸さんにお願いします」
「了解」
雷太と烏合は紅の裏工作とも言える作戦を聞いて呆気に取られている。
屈狸は面白そうに丸い顔をにっこりと微笑ませた。
紅の言う作戦はこうである。
草食と交流のある屈狸が間に入り雪と優也を明日の野菜マルシェに誘う。
当日は雷太自らが緑青の前まで雪を迎えに行き、一緒に外出届を出し、更に東雲へ戻って雪と出掛けることをアピールする。それだけだった。
それだけで雪の危険が8割方減るとみている。
危険を冒してまで雷太のものに手出ししようという輩はそういないと紅は判断したのだ。
なんにせよ平和的解決するに越したことはない。
(私服を準備しなくては。そうだ、他にも面白い店がないか情報誌で確認しておこう)
雷太がこれは生徒会長としての務めだと自分にいい言い聞かせるが、どうしても浮足立ってしまうのだった。
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