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野菜マルシェ

赤、黄、緑。色とりどりの瑞々しい新鮮な朝採れ野菜や、つやつやとした綺麗な果実がワゴンの中に所狭しと積み上げられている。 雪と優也はどこを見ても野菜と果実で埋め尽くされたこの野菜マルシェを目の当たりにし、目をキラキラと輝かせた。 「すっごい美味そう!!俺朝ごはん食べ損ねたんだ。ここで食べてこうぜ優也」 「うん、そうだね」 雪と優也は耳と尻尾をふるふると揺らし、うきうきとしながら備え付けの買い物カゴを持ち、好きな野菜や果物に手を伸ばす。 そのすぐ傍で雷太と紅がなごやかな表情で2人を見守っていた。 雪も優也もここへ訪れるのは初めてのことだった。 昨日、肉食組の屈狸から優也に連絡があり、雪と優也、それから肉食組の雷太と紅、この4人で学園のある山から町へと降りることが決まったのである。 屈狸と優也は幼少期からの顔なじみだった。 だから優也へ連絡がいったのだろう。 優也からこのメンバーで町の朝市へ行こうと誘われた時は、非常に驚いた。 なんでも先日の謝罪をきちんとしたい、という理由で雪と優也は誘われたらしい。 確かに雪は迷子になったあの日、優也に謝罪してほしいと雷太へ要求した。 その謝罪は食堂でお互いの食事を食べさせ合ったあの時に、もう既に済んでいた筈だった。 実際雷太は優也にちゃんと頭を下げたのだ。 しかし肉食側はそれでは気が済まなかったのか、この野菜マルシェで好きなだけ新鮮なとれたて野菜を食べていいと言う。 更に代金は雷太が持つと言うので、雷太達と出掛けることのハードルはより下がり、一緒に外出することへの抵抗はあまり感じなかった。 この日の朝一番に雷太と紅が緑青を訪ねてきた。 肉食組の来訪者は皆気配でわかるらしく、早朝の緑青はちょっとした騒ぎになった。 しかもただの来訪者ではない。肉食組生徒会会長と、書記である。 意外な取り合わせであり、その関係について疑問に思うことだろう。 雪達を遠巻きに眺めていた緑青の仲間達は、きっと今ごろ4人の関係についてあれこれ噂しているのではないだろうか。 町へ下りてからも、視線は4人へと注がれ続けた。 一見モデルのような雷太。シンプルな黒のジャケットにデニムのボトムス。 それだけで雑誌から抜けだしてきたような印象を受けるのは元がいい証拠だろう。 紅も負けず劣らずのスタイルだが、カーディガンと細身のパンツが知的な印象を与える。

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