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第76話
いくら考えてもわからない。
けれど雪は本能に従順だ。雷太の精を自分が纏うと考えると、下腹の更に下がきゅうっと疼く。
腰と尻と丸い尻尾をそわそわとさせ、もじもじと内股と膝がしらを擦り合わせた。
「いいよ……。マーキングして……」
雪は今にも膨らんでしまいそうな中心を誤魔化すように下肢を動かし、U字に大きく開いた胸元を覗かせ、無意識に雷太を誘惑する。
どんなに雷太から否定的なことを言われても、雷太と繋がっていたい。
そんな風に思ってしまう自分が滑稽だとも思う。
けれど溢れ出た欲望は止まらず、身体はみるみるうちにどんどん熱を帯び火照る。
雪が上目遣いに雷太を見上げたその瞬間、ぐいっと強い力で腕を引かれ、雪は雷太の腕の中、すっぽりと収められてしまった。
「雪……雪……」
雷太が雪を抱き締めながら、鼻先を雪の黒髪に埋めている。
雷太の手が雪の背中から尻尾へ移動し、丸い尻尾を指先で柔く弄んだ。
「ちょっ、雷太っそこ、やっ……」
「すまん。少しだけ……」
「ぅ……んっ……」
「ダメか?」
ダメかと言われても、そこは雪の性感帯の一つだ。
どうしたって息は荒くなるし、身体はぴくんと跳ね上がる。
中心は熱を生み、芯を持って立ちあがる。
自分を性の対象として見ていないだなんて嘘のようだと思った。
どうしてこんな風に触るのか、雷太は自分をどうしたいのか、訳がわからなくなる。
ただ、裏も表もない雷太の親切心だとしても、雪はそれを受け入れたいと思った。
「さ、触っても……いいよ。俺のこと卒業するまで守ってくれるんだろ。これで俺のこと性的な目ってやつで見てくる奴が減るのなら……」
雪は身体を雷太に預け、額を雷太の胸にピタリとくっつけた。
何がどうしてこうなったのか、やはりいまいちわからない。
けれど雷太とぴったりくっつくのは気持ちがいいし、安心する。
暫しの抱擁の後、2人はバスで元来た道を戻って行った。
公道から外れ林の中へ入れば、学園へと続く山道に出る。
雪は雷太に手を引かれ、学園の敷地である山道へと戻った。
頭の中は雷太がすると言ったマーキングのことでいっぱいだ。
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