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第101話

雪は自分が今どうすべきなのかを考えて雷太を見詰めた。 「仮の、仮の恋人は、抱き合ったりするのか」 「……?」 「キスしてもいいのか」 「雪……?」 「いいのかダメなのか、教えてほしい」 不安で元気なく垂れてしまった長耳と潤み切った瞳で雷太を見詰める。雷太は動揺した表情で、雪を見詰め返した。 「ダメなわけないだろう。触れてもいいのか?」 何故か逆に問い返されて、雪は迷うことなく頷いた。 直後、嵐が訪れたかのように、横からきつく雷太の腕に抱き締められる。 雪はその腕にしがみついて、鼻先をその腕に擦りつけた。 強者の香りに包まれる安心感。正直に言ってしまえばそれだけではないのだが。 仮の関係でも、こうして抱き締めてくれるのかと、雪は頭の片隅で考える。 キスを強請ったらどうなるのか。その先は……? もう一度、マーキングしてくれるのか。 雪の頭は雷太に触れること、触れられることでいっぱいになる。 「キス……したい。雷太」 「雪……」 雷太の三角耳がピクリと揺れる。 雷太は一瞬何かを我慢するかのように眉根を寄せ、その後雪の肩を掴んでベッドに押し倒した。 お互いがお互いの胸の内を知らぬまま、雷太と雪はベッドの上で抱き合って、唇を重ねた。 「雪、唇が冷たい」 「外が寒かったからだ。雷太がキスすれば暖かくなる」 「そうか。じゃあたくさんキスしよう」 「ん……」 雷太は雪の長耳の根本をコリコリと爪で軽く掻きながら、角度を変えて何度も雪の唇を吸う。 耳の根本を弄られるだけで下肢が疼くのに、唇から与えられる感覚はその快感を増幅させた。 知らず知らずのうちに腰が揺れる。 「ん……ん……、ん」 「雪、気持ちいい?ここが好きなのか?」 雷太の手は執拗に雪の長耳を弄る。 「ん、スキ……きもちいい」 雷太から与えられる刺激はどういうわけか、全てが気持ちよくて気を抜けば頭のネジ1本くらいは簡単に吹っ飛んでいきそうだ。 雪はハフッと甘い吐息を吐いて、うっとりとしながら雷太を見詰めた。 互いに目を合わせて再び顔を近付ける。 そしてキス、またキス。唇を甘く食まれ食べられるかのように覆われ、吸われ、雷太がちゅっと音を立てて唇を離す頃には、冷たかった唇も熱を帯びて赤く充血しているかのようだった。 甘いキスに身体が蕩け、下肢で熱が主張し始めると、雷太は雪の両手首を片手で拘束し、一まとめにして頭上のシーツに縫い付けた。

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