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第102話
雷太は好きだと言ってくれない。
やはり自分一人の一方通行な想いなのだ。
諦めにも似た気持ちが競り上がってくる一方で、身体は雷太の手によって、どんどん熱を帯びていく。
「抱きしめてキスするだけのつもりだったんだが、もう一度、マーキングするか?」
強い雄の匂いを放出しながら雷太が言った。
雷太の興奮した顔も匂いも、物凄くセクシーだ。
自分と同じ男だけれど、雷太の色気は男女問わず通用するんじゃないだろうか。
この色気で好きだと言われたら、きっと誰もが雷太に落ちるだろう。
それを羨まずにはいられない。
いつかどこかで雷太に愛される誰かに嫉妬した。
だったら、今だけでも自分のものにしたい。
「したい。マーキングして。いっぱい触って、エッチなこといっぱいして……」
雪は自分でも驚くほど甘い声音で雷太を誘った。
自らカーディガンを脱ぎ捨ててシャツのボタンを外し、ボトムスの前を寛げる。
身体を開いて、雷太に見せつけるようにして白い肌を露わにした。
そこから先は、まるで春の嵐のように、暖かな風に攫われたかのように、雷太の手管に翻弄された。
気持ちの伴わない触れ合いでも快感が生まれ、もしかすると自分は愛されているのではないかと錯覚する。
この時間がいつまでも続けばいいのに。
何度も喘がされ疲れ果てた雪は、生まれたままの姿で雷太の腕の中、眠りに落ちた。
「らいた……すき……」
小さな寝言は、雷太の唇にまた吸い取られた。
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