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第122話
「まじかよー。まぁ確認させてもらうけど」
雪の言葉を信じるものはここにはいない。
縛られた両手は頭上で平凡顔が押さえつけ、同じく縛られている両足はM字刈込みが上から股がっているので身動きが取れない。
本当に自分は何かされる。そう実感した途端、ぶわっと一気に鳥肌が立った。
「わ、やだっ、触るなこの変態っ!」
「ごめーん、俺変態です」
そんな台詞と共に体操着の裾をぺろんと捲られる。
雪の白いきめ細かい肌が露になり、見ている者全員が感嘆の声を上げた。
「すげぇ、女みてぇ。これなら全然いけるわ」
俺も、俺もと上から不躾にじろじろと見られ、雪は更に焦る。
逃げ出したい気持ち一心で雪が体を動かすが、その動きがまた色っぽいとハイエナ達は目を見張った。
「乳首のとこ膨らんでねぇ?やっべぇ。めっちゃ興奮する」
「おっ、おっ、おっぱいなら、お前の母ちゃんに見せてもらえよ!この、変態っ!死ね死ねっ!」
雪の強がりは逆にハイエナ達の興奮を煽り、我慢できないと、雪の短パンにも手がかけられる。
「せーの」
揃った掛け声で、一気に下着まで脱がされそうになった直前に、雪は叫んだ。
「人殺しっ!!」
「は?」
「俺は今から心臓を止めて死ぬ。お前らは知らないかもしれないが、俺達兎には心臓を止めるという特殊能力が備わっている。心臓が止まる瞬間まで、どこで何が行われていたのか、俺の脳が記憶しその記憶はDNAにもコピーされる。したがってここでこれから死ぬ俺の細胞を調べれば、お前たちがここでしたことも全部明るみに出て、お前たちは殺人罪で捕まることになるだろう。それでもいいのか?犯罪者になってもいいのか?」
半ばパニックに陥った雪がべらべらとあることないこと棒読みに捲し立て、「死ぬぞ」と脅した。
「こいつ何言ってんの、なんか気持ちわりーんだけど」
「じゃあ早く気持ちよくしてやれよ」
もうだめだ、と思った。
雪の最後の切り札、心臓を止める作戦も全く意味がなかったようだ。
短パンと下着が脱がされて、膝のところでもたついているのがわかる。
毛が薄いとか、ピンクだとか、色んな声が聞こえたが、雪は雷太のことを思った。
折角マーキングしてもらったのに。
雷太、ごめん。
雷太にもっと早く、正直な自分の気持ちを伝えればよかった。
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