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第123話
こんな奴らに何かされる前に、雷太と繋がりたかった。
貧弱で最弱、不甲斐ない兎人間。
雷太に釣り合う獣人に生まれたかった。
男が男に犯されるなんて。
雷太に知られる前に死んでしまいたい。
そう考えて目をつむる。
体の上を複数の手が蠢いている。
このままこいつらにいいようにされるのか。
だったら本当に心臓を止めてやる。
こんな姿を雷太に見られたくないのだ。
瞼を瞑った雪は、体をだらんと弛緩させたまま動きを止めた。
意識を手放そうとした雪の遥か遠くで、ハイエナ達が慌てふためく声が聞こえる。
ははは、いい様だ──。
そう雪が思ったのは夢か現実か。
この時すっと頭と体が冷めていく感覚に襲われた。
え、嘘。本当に?
やばい。
どんどん血が頭から下がっていく。
体も鉛のように重く、感覚がない。
大いに焦ってはいるのだが、ぼうっとした頭では狼狽えることすらままならない。
ウサギの猟奇的な迷信は迷信なんかじゃなかった。
びっくりだ。
体から体温が消えていく。
雪は自分が死んでいくのを実感していた。
本当に自分はこのまま冷たくなるのか。
あぁ、もう、だめだ。
さよなら、雷太。
生まれ変われたその時は、もう一度雷太に会いに行くよ。
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