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第125話

最終競技なんかより雪を探すことを先決とし、雷太は屈狸に代走してもらい雪の代理は牛島が務めることとなった。 その後すぐ、残りの肉食、草食の生徒会で雪の捜索が始まった。 この広大すぎる学園敷地内、林一帯を駆け巡って雪の居場所を探すのは時間も人手も大いに必要だった。 一刻を争うような危険なことに巻き込まれていやしないかと、皆が焦り鼻や耳の感覚を研ぎ澄ましながら捜索したのだが、草食組の小鳥が一番最初に雪の居場所を空から突き止めたのである。 野生の鳥類とコミュニケーションが取れる特異性を生かし、情報を集めてくれたのだ。 烏合もコミュニケーション能力に長けているが、小鳥のように野生動物とコンタクトを取るのは容易ではないだろう。 雷太は心の底から小鳥に感謝した。 雷太は腕の中で冷たくなっている雪を抱えて走り続け、中央棟に到着するとわき目も振らず医務室へ駆け込んだ。 今日は体育祭。 学園では怪我人必死の体育祭だ。養護教諭も校医も常在していた。 雪をベッドに寝かせ、すぐに校医に診てもらう。 養護教諭は雪の両親に知らせなくてはと、ばたばた駆けて医務室を出て行った。 力強く規則的な心音はあるが非常にゆっくりで、身体は冷たく真っ白だ。 稀に冬眠する動物を始祖に持つと、その特性が受け継がれることもあるらしいが、ウサギは冬眠などしない。 だとすると、一体雪のこの状態は何なんだ。 一刻も早く大きな病院へ搬送しなくてよいのだろうか? ここにいる校医は雪を救えるのだろうか? 適切な処置を施すことができるのだろうか? 校医の診察を待つ間も雷太は気が気でなく、雪をこんな姿にしてしまった責任を感じ心痛の思いで胸が張り裂けそうだった。 しばらくして養護教諭が戻ってきた。 校医と何か会話を交わし、それが終わると雷太の方へやってくる。 「山王、黒兎は眠っている。冬眠に近い状態で間違いない。さっき黒兎のご両親に連絡してこのことを伝えたんだが、どうやらウサギ特有の危機回避能力らしい。一時的なもので間違いないそうだ。15分も寝かせておけば目覚めるだろうと言っていた。しかしそれ以上長く眠るようならその時は病院へ搬送しなければならないらしい」 「……一時的なもの……そう、ですか……。よかった……」

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