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第137話

2人はカウンターから受け取った料理をもって同じテーブル、隣の椅子へと腰かけた。 やはり優也の用事は牛島が関係しているらしい。 雪の下に折った耳とそれを覆うフードで2人の会話を聞き取ることがよくできない。 しかし「中央棟」という言葉だけは聞き取ることができたので、この後2人は中央棟へ向かうのだろうと推測できた。 気になる。非常に気になる。 雷太に渡すプレゼントのことも考えなくてはいけないのだが、優也のことも気になって仕方ない。 優也は案外この学園で人気があるのを雪は知っていた。 この学園で人気があるということは同性からの人気が高いということだ。 自分も人のことは言えないが、象山と小鳥も同性同士で付き合っているみたいだし、優也だってそんなことがあってもおかしくない。 優也の相手は牛島なのか? しかし中央棟と優也と牛島……。なんだかしっくりこない、どこか変な組み合わせだ。 デートするのに中央棟? 中央棟と言えば、肉食・草食の共有する食堂と職員室に講堂、体育館、他実験室や資料室などがあるだけで、デートするにはどう考えても不向きな場所だ。 (うあーっ、超気になる!) 気になりすぎて丸い尻尾がうずうずする。 優也と牛島は早々に食事を済ませ、トレーを返却口へ戻しに行った。 雪の好奇心は止められるものではない。 食事を終えた2人の後を雪は見つからないよう尾行することにした。 2人が食堂を出たことを確認して雪もトレーを大急ぎで「ごちそうさま!」と返却する。 すぐに雪も食堂を出たが2人の姿が見えない。既に移動した後のようだった。 優也と牛島の会話の端々に中央棟という言葉が出ていた。 ということは、間違いなく中央棟に用事があるのだろう。 雪は既に止んでいる。 雪は外に積もった雪見たさと、優也と牛島を調査するため、薄手のパーカー姿のまま外に出た。 「うわ、さっむ!けど……」 足元に積もった雪がスニーカーを覆い尽くす。しかしサラサラとした雪は足を振るうとすぐに落ちた。 「きれいだな」 雪はその感触を楽しむようにしてその場できゅきゅっと足を踏み鳴らした。 「あ!雪!!」 自分の名前を呼ばれ、雪の長耳がぴくんとフードの中で震えた。 振り返ると防寒着を着込んだ優也と牛島が寮の出入り口近くに立っていた。 「あ……えっと優也と牛島はどこか行くの……?」

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