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第152話
緊張していたのか柔らかいキスに解されるように雪の身体から力が抜けていく。
雷太の唇がくちゅ、と音を立てながらゆっくりと離れ、そのままやんわりと抱き締められた。
「はっ、はぁっ、はぁ」
何も考えられないくらいにキスをされ、息も絶え絶えな雪に比べ、雷太は欲情の表情を浮かべるも涼しい顔をしている。
どうしてこんなにも余裕のなさに違いがでるのか。
これは経験値の差というやつなのだろうか。
雪は抱き締められながら、唇を尖らせた。
「大丈夫か?雪」
「平気だ」
雪は雷太の抱擁から体をもぞもぞと動かして脱出し、雷太の膝上に乗ったまま、ニットと中のタンクトップを重ねたまま乱雑に脱ぎ捨てた。
雷太の目の前には、雪のぷっくりとした乳首が露になるが、雷太はくすくすと笑っている。
「なっ、なに笑ってんの!」
「随分潔い脱ぎ方をするもんだなと思ってな」
「む」
「ふふっ」
暗に色気がないと言われているのだと思った。
だが、色気満載の受け身でいるだけの自分ではない。
見た目が頼りなくても雪は男だ。
それ相応の性欲もあるし、気持ちいいことは大好きだった。
それに、好きな人が乱れる姿を見たいと思うのは雄ならば当然の本能だろう。
雪は未だに黒いダウンを羽織ったままの雷太を脱がしにかかった。
長い腕から袖を引き抜くときには雷太が少し腕を上げ、然り気無く雪のサポートをする。
雪はそれに気付くことなくダウンを床にポイっと投げ捨て、今度は目の前の雷太のシャツを脱がそうとボタンに手をかけた。
シャツ越しにもわかる僅かに隆起した胸の厚みに、自然と息が荒くなる。
自分とは違う質の胸の膨らみである。
雪はこっちの膨らみに憧れるが、どういう訳か一向に筋肉がつく気配はない。
「ズルい身体」
ぼそっと雪が呟いた。
「そうか?俺は雪のこの身体が好きだぞ。透明感のある綺麗な肌に、膨らんだピンクの乳首は最高にいやらしくて可愛らしい。下も見たいな」
「……っ」
もたもたと雷太のシャツ脱がしに手間取る雪の胸を雷太がじっと見ているのに気付いて、思わず両手で胸を隠す。
雷太はにやにやと笑っている。
「見るなよ」
「無理だ。雪がすごく可愛いから。また次、いつこうして雪と過ごせるのかわからないのだから、この目にしっかりと焼き付けておかないと」
「そんな言い方、ずるい……」
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