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第160話

見せ付けられた雷太はチッと舌打ちをし、熱に浮かされたように腰を振り続けた。 以前初めて繋がった時よりも、明らかに激しい律動で雪を揺さぶる。 「雪っ、頼むから、俺以外の誰かに……っ、雪の……いやらしい姿を、見せたりしないでくれっ……!」 「あッ……あっ、あたり、まえっ……オレは、らいたの、ものだ……っん、ぁんっ」 「雪……雪……、俺の雪……っん、っ」 雷太が後ろで必死に腰を振り、艶を帯びた声音で雪の名前を切な気に呼び続ける。 雷太がどんな表情で自分を呼ぶのか見てみたい。しかし振り返りたくても、がっちりと腰を固定され激しく突き上げられればそれも叶わない。 「らいたぁっ……顔、見せてっ、んっ、んっ……っ」 「……っ」 雪が声を途切れさせながら懇願する。 「わっ……!」 すると前で突っ張らせていた腕を雷太に握られ、繋がったまま雪の体を反転させると同時に反対の手で雪の背中と首を抱えベッドに下ろす。 背中がふわりとベッドのスプリングと温かなシーツに包まれ、視界が一転した。 「らいた……」 目の前には今にも泣いてしまいそうな顔をした雷太の姿があった。 目元が赤く染まり、薄く開いた口の隙間から伸びた牙が見えている。 汗で厚い胸板がしっとりと潤い肉食の雄の匂いを漂わせ、金の三角耳はピンと張り詰め、雷太の後ろで金の細い尻尾が高い位置でゆらりと揺れる。 これは自分に欲情した雷太の姿だ。 雷太の淫猥な表情に雪自身がクンッと持ち上がった。 「雪……すごく、可愛い」 雷太の言葉で、自分もきっと同じような顔をしているのだろうと気付かされる。 「雷太だって……」 互いに熱に浮かされた顔を見合せ、雷太が困ったように眉を下げながら微笑んだ。 堪らない気持ちとはこういうことを言うのだろう。 雪の胸にぐっと熱が込み上げて、それは涙に形を変えて溢れ出る。 つうと目尻から耳の方へと流れ落ちる涙を雷太のざらついた舌が掬った。 百獣の王だけど舌の表面はネコ科なのだと、涙を拭われながらぼんやりと思った。 雷太はそのまま唇を雪に重ね、舌と舌を触れ合わせながら再び腰でリズムを刻む。 雷太の手が雪の熱を掴み、優しく扱き上げる。 「ふっ、ぅん……っ、ん、んん」 前と後ろを同時に優しく攻められて、溢れる喘ぎを唇で吸いとられ、雪の体がビクビクと跳ねた。 頭の先まで痺れるくらいの快楽に溺れさせられ、もう何も考えることなどできない。

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