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第3話

「っよし!手当完了!」 左の額を2cmほど斜めに切っていた少年。 幸い縫わなくても大丈夫な傷だった。 あらかた消毒してテープを貼って治療を終える。 あの自宅がすぐ近くだったため、この流血金髪青眼少年を半ば強制的に自宅に連れ帰り手当をおこなった。 3階建ての高級住宅、その3階の自室で… 緊張気味の少年に手当終了の声かける。 「あ、ありがと…」 「どういたしまして」 「手際いいんだね」 「おう、好きなんだ手当すんの」 「へぇ変わってるな…」 微妙にぎこちなく会話を続ける少年。 「なんか、すげー警戒してるな」 そんな様子を見て笑ってしまう。 「そりゃするよ、初対面なのにいきなり家に連れて来られれば…」 首をかしげながら話す少年… そんな様子を気にするでもなく、気になっていたことを聞いてみる。 「お前なんでこんな怪我してんだ?」 「……」 少年は微妙な顔をして答えない。 「喧嘩?」 さらに促すように聞いてみる。 「ううん、母さんにやられた」 そう、ぽつっと言葉にする少年。 「え?」 「助けてくれたし…言ってもいっか、…見る?」 少し考える仕草をして少年はそう、問ってくる。 「え?」 そのまま…返事を待たずに少年は長袖の上着を脱ぐ。 そこに現れた身体は――。 無数の痣と怪我のあと… 左肩には火傷の後が痛々しく刻まれていた… 綺麗な顔立ちとは裏腹に… 汚いからだ… 「コレ、全部母さんが硬い棒とかで叩いて出来た傷、古いのも新しいのもある…」 本人は平然と説明してくるが… 「お前…」 「なんかおれのこと気に入らないみたいでさ…」 「……コレも?」 やはり気になる肩の大きな傷… 「これは火傷のあと…子供の頃寝てる間に熱湯かけられたんだ、けどあんまその時のこと覚えてないんだけどね」 そう、へらっと笑う少年。 「このせいで左肩だけ少し上がりにくいんだけど、まあそんなに不便じゃないし…」 「お前、それ虐待じゃないか…通報しろよ」 あまりのひどい状態につい言ってしまう。 「いいって、もう慣れてるし」 しかし、本人はけろっと言葉を返してくる。 「よくねぇだろ、つか仕返しとかしないのか?」 「しない、さっきも酒瓶で頭殴られてさ、さすがにカッとなって家飛び出してきたんだけど…」 そう、怪我した頭を抑えながら話す少年。 「おれが本気で暴れたりしたら母さんに怪我させちゃうし…」 「お前だって怪我してるだろ?」 「でも…母さん、おれを殴ることでストレス発散してるんなら、別にいいんだ」 本当にそう思っているのか…純粋に笑い言い切る。 「お前な…」 「んでさ、家から飛び出してすごい勢いで走って…」 続けてさっきぶつかった経緯を話し始める。 「そうしたらあんたにぶつかったんだよな」 そう、また笑う。 「ホント、ふっとんじゃったからびっくりした、髪長かったから女の子かと思ったら男子だし」 マイペースに話を続ける少年に… そっと近づいて抱き寄せる…。 「えっ?何?」 困惑する相手を見つめ… ぎゅっと抱きしめたあと… 抱きしめる手をそっと離し… 「お前!!」 勢い良く声を出す。 「な、何?」 「とりあえず今日からここに住め!!」 「はぇ?」 唐突な言葉に、少年は目が点になっている。

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