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《平穏な日々》
あいもかわらず平穏な日々は過ぎていく。
いつもの夕暮れ時、学校から帰ったアキラは自室でいつものように机に向かい宿題に手をつけはじめる。
ちょっとヤバめのアルバイトをしながら高校に通う普通科の高校1年生。
半年前までこの広い家で一人と犬二匹で住んでいた。
宿題を解きながらアキラは思う。
今、オレはルードと一緒に住んでいる。
理由はいろいろあるけど一番はルードが大好きだからオレの完全一目惚れ、ついでに言うとオレの一方通行止まり。
キスさえまだ…。
性関係のバイトしてる割には、自分でも手が遅いと思う。
一番は、ルードから軽蔑されるんじゃないかって恐い…。
でも、もうそんな事言っていられない。
病を抱えるオレの身体が自由になるうちに、告白しないと…絶対後悔する。
どうせいつかは別れなきゃならないんだから何もせず終わる事はしたくない。
オレにとっては、今が一番大切だから――。
「なぁ、アキラってスゲーよな、一番に宿題して」
明るく声をかけている少年は、ルード。
半年前からアキラの家に居候している少年。
「ん?癖なんだよ。それに、嫌なことは早めに終わらせておきたいタイプだから」
宿題を中断させられた事を怒るでもなく、笑顔で答えるアキラ。
続けて…
「ルードはどうして宿題学校に行ってからするんだ?」
そう問い返す。
「おれは、前は家で勉強させてもらえなかったから」
「今は?」
「今は、できるけどやっぱり癖かな?学校でするのが」
軽く首をかしげアキラの様子をうかがいつつ答える。
「だろ、ずっと続けてると癖になるんだよ」
そうそう!と、頷きながらルードを見る。
不意にルードの腕を掴み…
「ルード、見せてみろよ」
「えっ」
急に言われて戸惑うルード…
「おまえの傷だよ、いい?」
やさしく聞くアキラ。
「あぁ、いいよ、はい!」
ためらう事なく長そでの腕裾をまくり上げる。
そこには、青アザが無数に重なるようについている。
その上からひっかかれたような跡もある。
「最近ついた傷はだいぶ消えたな、でもやっぱり全部は消えないかもな」
ルードの腕に触ながら、言葉にする。
「うん、仕方ないよ、でもアキラが手当の仕方教えてくれて、傷残らなくなったから嬉しいよ」
にっこり笑いながら無邪気に言う。
この傷は、ルードの母親がルードを虐待してつけたもの、いつからされてたのか覚えてないらしい。
虐待されるのが、あたりまえの生活をしていたのだ。
「オレは当然のコトしただけだぜ。ま、最初お前の身体見たときは傷の多さに驚いたけど…」
「…うん」
「ルード会った時めちゃくちゃ警戒してたよなぁオレのこと」
「そりゃするよ!いきなり声かけて来て家に連れこまれて、手当されてもう家に帰るなとか言うんだもんなぁ、警戒もするよ」
ルードの言葉に声を出して笑うアキラ。
「でも、普通ほっておけないだろ」
「そこがアキラのいいところだよなー」
感心したように褒める。
「普通だって」
少しうれしそうに微笑み、腕を放す。
ルードもつられて笑っていたが、突然真剣な表情になり、言葉を出す。
「アキラ、今さらだけど、なんでおれなんか助けてくれるんだ?」
どこか不安そうだ。
「ルード…」
「おれ、このままアキラの家に、いていいのかな?」
真剣なルード。
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