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《決意の告白》

9月も終わりの第4土曜日の夜。 アキラはルードの作ってくれた夕食に手をつけながら、ルードとの会話を楽しんでいた。 そこへ、一人の人物が帰って来る。 「ただいま、アキ兄久ぶり」 トーンの高めの声で話かけてくるのはアキラの母違いの弟、コウジだ。 小柄で、色白、綺麗な茶髪サラサラのショートヘア。 兄と同じでキレイに整った女顔だ。 「コウか、どうしたんだ?」 「あっコウジ!いらっしゃいっ」 アキラが普通に聞き返すそばでルードが喜んで話かける。 ルードとコウジは半年の間に何回か顔を合わせていて顔見知りになっていた。 「ルード君、こんばんは」 「うん、こんばんは~!ごはん食べた?」 「一応食べたけど、ルード君、何作ったの?」 食卓へ近づきながら笑顔で問うコウジ。 「酢豚!とたまごスープっ!!」 「へぇじゃぁ食べようかな」 「お前、よく食えるな」 少し驚いてアキラが口を挟むと、念を押すように言葉を返すコウジ。 「普通だって、食べたの2時間くらい前だし。アキ兄が食べなさすぎなんだよ」 アキラは、そうか?と疑問になりながら箸を置く。 ルードは… 「待ってて」 と食事の用意をするためキッチンへ消える。 そのすぐ後にコウジはアキラへ小声で話かける。 「ねぇアキ兄、ルード君とどうなの?もう手に入れちゃった?」 「っバカッ!何をいきなり!」 動揺しつつアキラは、目線が泳ぐ。 「だって気になるんだもん、でもその様子じゃまだなんだ」 驚いたように瞬きする。 「悪いかよ」 少しムスッとして答えるアキラ。 「別にぃ、アキ兄がそれでいいならね」 「……」 少しの沈黙。 そこへ、ルードが温めた食事を持ってくる。 コウジはルードと目が会うと、にっこり笑って。 「ルード君だったら大丈夫だよアキ兄」 「わかってる……」 二人のやりとりをみて… 「何?」 そう首を傾げる、ルード。 それには答えず微笑み、さっそく、ご飯を食べはじめるコウジ。 「ところでコウジはなんで帰って来たんだ?」 アキラが再び質問する。 「ん?だって明日ルード君の運動会でしょ。見に行くって言ってたよね」 「えっ!やっぱり見にくる気!?」 「うん、だってアンカー走るんでしょ、見なきゃねーアキ兄!」 「あぁそれで寮から帰って来たのか、ルード、オレも見に行くからな!バイトないし」 「なんか、はずかしいな」 てれながら頭をかくルード。 『がんばれ!』 可愛い兄弟は声を揃えて応援する。 はずかしそうに、声援に頷くルード。

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