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第18話

(オレも大人げないよな……) 心で思うアキラ。 「もー、まぁいいけど、コウジどこに来てるんだ?」 ルードはすぐ許してくれる。 その後、コウジとも合流して、ルードは競技へ戻っていった。 ルードの出る最後のリレーも終わり片付けもだいたい終わって小学生が帰りはじめる。 「ルード君速かったね」 「あぁ、すごいな……」 少し上の空なアキラ。 「アキ兄?…あ!あれ、ルード君じゃない?」 コウジが遊具の方を指さして声を出す。 そこには、金髪の背の高い女性がルードへ何か言っている。 「えっあ!あいつ母親だ!」 「ルード君の?」 「そう!」 言いながらルードの方へ向かう。 「いい!4時までにはこの荷物家に持って帰るんだよ!」 そう母は言い荷物ごとルードを突き飛ばす。 しりもちをつくルード、母親はフンと顔をそむけ、その場をあとにする。 「ルード!大丈夫か?」 いち早くルードに話かけそばによるアキラ。 コウジもやって来る。 ルードはアキラたちに笑顔をむけ、渡された重たい荷物を肩へかけ起あがる。 「アキラ、コウジ、リレー見た?最後二人ぬいて一位だったぜ!」 元気のよい声で自慢する。 「そうだねっルード君速かった!」 コウジは驚いてみせ褒めている。 アキラは少し深刻そうな顔でルードに問う。 「ルード、今母親に何か言われたんじゃないのか?」 「ううん、たいした事じゃないよ。帰ろっか…」 やわらかく笑いながらアキラの質問をかわす。 「その荷物。どうするんだ?」 「家に持って帰れってさ」 ルードが言葉を言い終わるのと同時にルードの後ろから、ドン!とタックルしてくる小さな影。 押されて、また前へ倒れるルード。 「はははっバーカ!兄貴!私のカバンも持って帰ってよね!」 その声の人物はルードよりはるかに小さい、小学1.2年ぐらいの女の子だ。 「ケイカ…」 何も言わずあたり前のように去っていく妹にアキラが声を出す。 「っ待てよ!お前!」 しかし、のほほんとしていたルードが急に厳しい顔になり。 「アキラ!やめろっ!」 強く制止する。珍しく真剣な顔だ… アキラはルードに言い返すが… 「だってお前、妹に馬鹿にされて悔しくないのか?」 「……」 「ふふっ兄貴は私には逆らえないんだからねっ」 そう言い残し、母親のもとへ行ってしまうケイカ。 「ルード……」 どうして?と名を呼ぶアキラ。 ルードは小さい声で話しだす。 「母さんはケイカのコトすごく大事にしてる、だからケイカを怒らせたら後でおれが母さんにひどい目にあわされるんだ……ケイカには何も言わないでな、頼むから」 「そっか……悪かったよ」 申しわけなさそうにアキラが謝るとルードは軽く笑って、いいよと再び立ちあがる。 「荷物、少し持つよ」 アキラはルードが抱えている荷物へ手を向け言うが…。 「いいよ!重いし。持てるって」 断るルードだが、意地でも持つ気らしい兄をみてコウジが言葉をはさむ。 「僕も持ってあげるよ、僕けっこう力あるんだよ!はいアキ兄」 そして、ルードから荷物をふたつ、もらってアキラに軽い方を渡す。 「えっと、ありがとう」 なんだか押されぎみのルードだけど好意に感謝する。 「じゃ帰ろう」 アキラはルードに声かけて歩きだす。 並んで帰る三人。 約10分ほど歩いてルードの自宅アパートに着いた。 ルードの自宅はアキラの家の裏向かいにある。 道を挟んでちょうど高級住宅との境目にあるルードのアパートは貧そうにみえてしまう。 部屋にあかりはついてない。 「まだ帰って来てないな」 アキラが様子をうかがいルードに聞く。 「うん、荷物ありがと……置いてくるよ」 「戻ってこいよ!」 アキラの言葉に頷き、ルードは、慣れた様子でベランダの柵を越えて窓から家に入って行く。

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