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第19話

「アキ兄、大丈夫?腕…」 重い荷物を持ち続けていたアキラにそっと聞く。 「このくらい平気だから、気にするなって」 いつもアキラをサポートする役だったコウジ。 様子を気にするのも癖になっている。 「アキ兄、いつまで病気の事をルード君に隠しておくつもり?」 「……最後まで」 コウジはアキラの答えに頷いたが、どこか呆れた様な目でアキラをみる。 視線を受けても動じることなくルードを待っているアキラ。 ルードも戻って来て、アキラは家の裏から防犯システムを解除し、敷地へ入る。 そして家に着き三人で、夕食までのんびりして過ごし、コウジは学校の寮へと帰って行った。 ……その後、いつものように順番にお風呂に入って一緒にTVゲームをしていた時のこと、ルードが急に真剣な顔で話しだす。 「アキラ、あのさ、おれ明日から、家に帰るよ」 「っ、なんで!?」 唐突に言われて、ゲームそっちのけで驚くアキラ。 ルードはアキラの方は見ず答える。 「うん、アキラには、もう6ヶ月も世話になってるし……今日、母さんみたら痩せてた、母さんにとっておれは気をはらす道具なんだ、おれが戻らないとイライラ溜まるばかりなんだ…」 「そんなの考え過ぎだって!」 アキラはルードの言葉を聞いて慌てる。 「……アキラにはホントに感謝してる。これ以上迷惑かけられないよ」 「迷惑なんか…、帰ったらまた殴られて怪我するだろっ」 必死に止めようとするアキラだが… 「仕方ないよ、それがおれの役目なんだ。アキラが傷の手当のし方教えてくれたから大丈夫だよ」 本当に帰るつもりのルード。 薄く笑ってアキラに思いを伝える。 アキラは、何を言ったらルードを止められるのか思いつかず困惑する。 「……ルード」 「だから、明日からは家に帰るよ」 「いやだっ」 アキラは、座っているルードに後ろから抱きしめる。 「ア、アキラ?」 「帰さないっ!」 「っおい!?」 抱きつかれ動揺するルード。 アキラはそのままルードの身体のバランスを崩し乗りかかるように押し倒す。 「どっ、どうしたんだよ!?」 アキラの動きについていけず、ボー然となる。 ルードの肩を両手で抑えたまま… 「ッ、好きなんだよ!」 伝えたい思いを口にしてしまう。 「オレはっお前が好きなんだっ!」 「えっ!?」 驚いているルードだがそれを制してアキラはルードに口づけをする。 その動きで固まるルード… 「っん??」 アキラはルードの上着の裾から素肌へ細い指を触れさせ、唇を首すじへと動かす。 触れられて、ビクッと身体を震わせる…… 「ア、アキラ……」 アキラの腕を掴み動けないようにして…声も困惑して震えている。 「おれ、わかんねぇよガキだし…なんでこんなことするのか…」 「ルード…」 「アキラが恐いよ」 震えながら言う姿に胸が痛くなるアキラ。

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