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《最悪な出会い》

10月の初めの日曜日。 アキラとルードが結ばれて一週間。 以前とかわらずの毎日を過ごしていた。 ルードは時々自宅に帰って母の様子も見ているようだが、叩かれても心配させないようにアキラには内緒にしている。 今日はコウジを交えて、三人でカラオケに行こうという話になって街へ出る。 ルードは初めてカラオケに行けるので、風邪ぎみでもあるにもかかわらず、大ハリキリ。 「早く行こうゼ!アキラっコウジっ」 街の中を、先頭きって歩いていくルード。 「ルード!風邪ひいてんだから、おとなしくしろって」 アキラがつい声を出して止めるが… 「だって早く歌いたいんだもん」 聞く気なし。 「ルード君、そんなに急がなくてもカラオケは逃げないよ」 コウジが笑いながら言い、ひきとめるように続けて… 「ほら、あっちにクレープ屋あるよ」 「えっクレープ?」 コウジの言葉にひかれるルード。 それを見てアキラが… 「買ってきてやるよ。お前らそこで待ってて」 「いいよ、僕が買ってくるからアキ兄」 そう口をはさむが… 「いいって」 とさっさと行ってしまうアキラ。 残された二人は、仕方なくベンチに座って待つことにした。 一方、アキラは50メートルほど先にあるクレープ屋へ着いて行列ができていたので並んで順番を待っていた。 が、急にアキラは肩を強くひかれる。 「ッ!?」 何?と驚き、その相手を確認してガクゼンとなるアキラ。 「よぉ!こんなところで、何してんだぁサクヤ…」 少し不機嫌そうに言いアキラを自分の方へひきよせる、長身美形の男。 「ッヨシ!?」 姿を確認してとっさに、逃げようとするアキラ。 「っと!どこ行く気だよ、連れがいるのか?」 アキラの腕を捕らえながら聞くヨシ。 「…っ」 ヨシの言葉を聞いて、動きが鈍るアキラ。 (コウジはともかくルードだけはヨシに会わせたくない…) その様子を不振に思うヨシだが、ヨシの後ろから二人の男が声を出す。 「何?そいつヨシの知り合い?」 「女?男?」 続けて聞いてくる。 「あぁ、ムカツクヤローなんだよ」 アキラを無理やり引っ張っていきながら連れに言っているヨシ。 「なんだ、男か…」 「ヨシ?どうする気なんだ?そいつ…」 なんだかんだ言いながらヨシについてくる連れたち。 細い路地に入る。 「っ放せッ!」 アキラの抵抗も無視に近いヨシ。 「フッ、少し遊んでやろうと思ってな…」 鼻で笑うヨシ。 細い路地を奥まで行くと使われていない廃棄倉庫へ入ってアキラを突き放すヨシ。 「ッ…」 突き飛ばされアキラは、その場に倒れ込む。 その頃、ルードたちは、あまりに帰ってこないアキラを心配していた。 「やっぱ遅すぎだよアキラ…」 「うん、列んでるのかもしれないけど…」 首を傾げながら答えるコウジ。 ルードは突然立ちあがり… 「おれ、探してくるっ!」 言い残して走って人ごみの中へ消える。 「待っ…行っちゃったよ」 止める間もなく行ってしまうルード。 (追うべきかな…でもアキ兄ここに帰って来るかもしれないし…ルード君も…) 考えてもう少しこの場で待ってみるコウジ。 「あれ?いないなぁ…アキラ」 クレープ屋にたどりついたルード。 行列の中にアキラの姿を見つけられないので… 「あの、ここに、茶色の髪で一つに結んでて、このくらいの背の綺麗な人来なかった?」 その辺の人に聞いて見るルード。 何人かからぶりしたあと、運よく知っている人を見つけて教えてもらう。

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