25 / 82
第25話
「う、ッーっはぁ…ッ」
フラつく頭を上げて、その影を目で追うと、アキラを抑えている奴らまで蹴り倒している。
その勇姿を見てルードは…
「すげぇ」
と感嘆する。
アキラは、身体を解放されて、マヒの続く腕で、ポケットから指にひっかけるようにして、液体の薬を飲み込み…
すぐに、左足を引きながらでもルードの方へ向かう。
助けてくれた人物にみとれていたルードの視界が奪われる。
「ッごめん!!ルード…っ」
「ア、キラ…」
「それからッ、大バカやろっルードのバカッ!こんな、こんな事して、オレが喜ぶわけねーだろッ!!」
悲しそうな顔で、怒るアキラ。
「アキラ、おれなら平気だから…」
ボソっと答える。
「ばかッ!ならなんで泣いてんだよッ、このっウソツキっ!」
「えっ、あ…っふッなん、でだろっ」
両手を頬にあてて止めどなく流れる涙を拭うルード。
「バカだなぁ…おれって…」
ポツリと言う。
アキラはルードに身体を寄せ頭を撫でながら。
「ホントだよっ今度こんなマネしたら許さないからなッ」
やさしく言う…
「うん…恐かった」
アキラに寄りかかる。
そうこうしているとヨシたちを追い払って近づいて来る人物。
「OK!終わり!大丈夫?ルード君」
明るく声をかけてくるのは…
「っえぇ?こ、コウジ、っっ?」
ルードは、かなり驚いて名を呼ぶ。
「はい」
ヨシたちを余裕で追い払ったのは、小柄でかわいいコウジだったのだ。
「……つ、強いね、コウジ…」
「うん、僕5才の時から空手習ってたんだ」
微笑みながら教える。
「…は、ははっ」
「驚いた?でも、ひどい目にあったね、服も…」
「あー!!っそうだ!あいつおれの服破ったんだ!!」
いきなり怒りだすルード。
「服ぐらい買ってやるよ」
だいぶ薬が効いてきたアキラ…そう言葉を出す。
「うん、僕が買って来てあげる、待ってて!」
そう言い走って行ってしまう。
「…すごいね、コウジ」
「あぁ、兄ながら驚異を感じるよ…」
アキラの言葉に薄く笑う。
少しの静寂の時が流れる…。
不意にルードが口をひらく。
「ねぇ…アキラ」
「何?」
「今、おれとやりたいって思ってない?」
微笑みそんなことを聞いてくるルード。
「な、なに言って…」
少し慌てるアキラだが…
「おれは、やりたい」
「え!?」
「なんか嫌な気分なんだ…おれの中にまだあいつがいるような感じがして…」
アキラの瞳を見つめて言う。
「ルード……」
アキラへルードがキスをして…
「お願い、アキラ」
微笑しながら頼んでくる。
それを見てアキラの心は高鳴る。
「本トにいいんだな、大丈夫なんだな?」
ゆっくり体勢を変えつつ聞く……
「うん」
アキラのキスからはじまり、肌へ触れていく。
「…は、ぅ…ん」
ルードは目を閉じて力なく反応を返す。
指を入れてみるとヌルっとした感覚。
抜いてみると指に血が絡みついていた。
「これは…」
さっきのプレイの悲惨さが、嫌というほど伝わってくる。
(ッくっ…ヨシッ!)
ヨシに対する怒りの感情が、アキラを震わす。
「大丈夫か?」
もう一度聞く。
それにコクンと一回うなづく。
それを確認してそっと挿入するアキラ。
「んッ痛っぅ」
今にも力の抜けそうなルード。
アキラにつかまって痛みを過ごしている。
「っはぁ、アキ…ラはっ違、うッやさしい…ッからっありが、とッ」
アキラの耳もとできれぎれに言い、ついに意識を失ってしまう。
「っありがと、か…」
(それはオレのセリフだよ…)
そう思い、ルードを抱きしめるアキラ…
ともだちにシェアしよう!