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第32話

フッとDVDの画像が蘇った。 二人に犯される少年。 ――最初は無理ヤリ―― そうだよな……あれは、演技じゃねぇよな……。 ――アイツは受センモンだから―― アキラが?信じられないけど、そんな気もする…。 「さ、中入ろうぜ、冷えてきたし」 「そんなこと言ってアキラの方が、冷え冷えじゃん」 「うるせー」 (冷たい手…おれをずっと探してくれてたんだな…) 胸が苦しくなるルード。 「ごめん、ありがと…」 嘘ついてごめんアキラ…。 家に入って、明るくなり出来るだけ手首を見せないように、夕食を作る。 できた食事をテーブルへ並べる。 アキラは席に着いて、うまそーっと声を上げている。 「あれ?食わねーの?ルード」 なかなか座ろうとしないルードに声をかけるアキラ。 「あっ…食う食う」 そそくさと座るが、一緒に食べると嫌でも手首が見えてしまう。 ごめんなさい! また嘘をつきます… 心でそう思い… 「いただきます!」 ルードは手を合わせてあいさつをする。 当然アキラの目は…。 「ルードッその手……どうした?」 ルードの手首にできた新しい痕を、じーっとみる。 「か、かあさんにも見つかって……ひもでくくられて押し入れに閉じ込められてたから…」 「なッ!」 驚くアキラだが。 「ごめん!よくあることだから」 「よくあるって、大丈夫か?犯罪じゃないか母親に文句つけねぇと!」 「あッダメだ、っと……ほら、かあさんって根に持つから何か言うとおれが後で何されるか…だから」 「あ、そうか……ごめん。カッとして…」 「ううん、いいよ」 内心ホッとする。 そんな事されたら嘘だとわかってしまう。 以前、何度となくされた行為でも。 食事も済み、今日二度目のフロへ入るルード。 上がって鏡を見ると首筋少し下にくっきり歯あとが残っている。 「あっ!あの時の……ヤバイなぁ」 服を着ればなんとか隠れる位置だ。 「気をつけよう…」 首筋を隠すつもりでタオルを首にかけ、髪を拭きつつ、三階のアキラの部屋へ戻る。 「お、入ったか?」 「うん、いい湯だったゾ…アキラ、勉強?」 「そう、来週からテストだからな…」 「そっかぁ…」 不意にルードは、くしゅんっと続けて三回くしゃみを連発する。 「大丈夫か?カゼか?熱は?」 心配して近づき額に手をあてるアキラ。 「だいじょーぶ!きっと誰かうわさしてんだよ」 「そうか、まっ少々の風邪ならオレがなおしてやるからよ」 「アキラは医学詳しいもんな」 「ありがと…」 やさしく笑うと… 「うわっ!」 アキラはルードをベットへ抱きたおす。 「ルード」 「アキラッん」 そして唇を奪う。 (やばい……やろうとしてるコトはわかる、相手をするのはキツいけどダメじゃない、ただ今日はヨシとヤった痕跡が身体のどこかに残っていて見つけられるのが恐い……) ルードは思って… 「ぅ、あ、アキラ……ま、待って」 首筋へ触れてきたアキラの唇が止まる、と言うより… 首筋を見られたくない思いがあるためか、服のえりを掴んでそれ以上、脱がせないようにしているルード。 「ルード…」 「ご、ごめんアキラ、今日閉じ込められたりして身体がだるいんだ……あ、明日な、明日やろう」 「そっか…わりィ」 かなり残念な顔をして離れる。 「本当に、ごめん!」 そう言ったルードの唇に軽くキス… 「ばっか、無理させるワケないだろ。このオレが…ゆっくり休みな」 やさしく言うアキラ。 (ムリしてる…アキラ、悪いことしたな、見つかってもやらせてあげれば良かったかな…) などと思っていると。 「そんな顔すんなよ、本トおまえってやさしいな」 ルードをみてアキラは言葉にする。 (やさしい?) 違うおれは……。 大きく頭を振る…。 「さ、先に休め、じゃないと、どこまで自分、抑えられるか、わかんねぇぜ」 ふっと笑って布団をかけ… 「おやすみ……」 言って勉強机へ戻ってしまう。 「おやすみ…アキラ」 ポツリと伝える。 罪悪感で押しつぶされそうな心で思う。 アキラこそ、やさしくて… おれはヒキョウ者だ…。 ≪予期せぬ展開≫終

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