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第34話《罰・撮影》
10月末の月曜日。
今日アキラは追加撮影がある日だ。
しかし、夕方6時前だと言うのに何の準備もしていないアキラ。
サボる気なのだ…。
無断欠勤は罰撮影…
皆が恐れる事だが、アキラはもうBOUSに戻る気がないため…
撮影になんか行ななきゃいいと軽く考えていた……。
それを、すぐ後悔する事になるのだが…アキラはそんなことは知らずに、いつものようにルードと過ごしている。
場所は変わり、BOUS撮影所内。
6時半をまわって社長が困った風に声を出す。
「うーん、来てないんだね。集合時間、六時って言うのは確かなんだね」
「はい、昨日の今日なんで忘れる事はないと思いますよ…電話連絡ついた?」
トオル監督は社長と話つつ連絡の様子を聞いている。
「ダメです。つながりません」
それを聞き社長はため息をついて…
「…仕方ないね、規律にしたがい集合時間から一時間たっても来ない場合は罰撮影を」
完全秘密主義の会社だけあって規律は厳しい、簡単にはやめられない決まりになっているのだ…。
「はい、じゃぁタツを呼んで、ユウ準備しておいてよ!」
トオル監督は場を仕切りながらユウに声をかける。
「え、俺ですか…」
驚いて声を出すユウ。
「ユウちゃん罰撮影経験ない?攻はタツとその日の相手役がやるからね」
それを聞き、ガク然となる。
「……」
サクヤが罰撮影されると聞くだけで辛いのに、自分もサクヤに手を下すとは…
「あぁ、複雑な撮りじゃないから、ただヤるだけ、ユウちゃんなら大丈夫だよ」
その沈黙を、違う意味に取りトオルは説明する。
「……はい」
なんとか、返事をする。
一時間経つまであと20分ほど、無駄だとわかっていても…。
サクヤが来る事を願わずにいられないユウだった。
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