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第41話

みずきを、支えながらルードは… 「よっと!大丈夫か?家入るぞ」 そのまま部屋の中へみずきを連れて入ろうとする。 「…あ!」 「えッ?」 しかし、声を出して止まるみずき、部屋が荒らされたままだ。 思って止めたが、時すでに遅し…。 「ッな!?どうしたんだ?これっ」 まるで泥棒にでも入られたような部屋。 落ちている財布に目がいくルード。 「まさか、あのオヤジまた戻って来たのか?」 「…あぁ」 「なんて奴だ」 言葉を失う。 「いい、毎度の事だから…」 そう言って少年の手を放し、家の中へ入るみずき。 「何がいいんだよッ!」 そう、みずきの前に出る。 「あ、もしかしてまた殴られたりしたんだろっ!」 平静を装うみずきだが、汗が額に滲み出ている。 「俺の事は、ほっておいてくれていい……」 気遣うルードを無視していく。 でも、引き下がらないルード。 「ほっとけるわけないだろっ!」 ルードはみずきの腕を引き、続けて… 「ケガ手当させて!おれ、すっごく得意だから!」 必死に言う、その真剣な瞳におされて頷いてしまう。 「よかった。おれ、撰都ルダーク。小五、ルードでいいよ!」 そう笑顔で言うと、買って来たのか袋から応急箱を取り出す。 「はい、これで顔冷やしてて!」 赤くはれた顔をみて冷却シートを渡す。 「…俺は、すずかみずき…」 「あ、ユウの本当の名前?呼ぶの、そっちがいい?」 「…あぁ」 「じゃみずき、えーと…」 顔以外のキズを見ようと思ったが、服を上げるのに躊躇する。 「あぁすまない」 そう言い無造作に、服を上げるみずき。 色白の肌に、青アザが数箇所ある。 その上から、殴られて赤くなっている。 ルードは、やっぱりと心で思い、手当にかかる。 テキパキ正確に手当するルードを見て不思議に思う。 「本当に小学生か?」 そんな事を聞いてしまう。 「え?おう!小五だぜっなんかみんな年上に見えるみたいで、へんなの!」 笑いながら言い、手当を終える。 「はい、いいよー」 「うまいな、手当…」 ルードに礼のつもりで褒める。 「ふふっありがと、なれてるからね」 にっこり笑って答える。 「なれ…?」 少し気になり聞いてしまうみずき。 うーん、とルードは、少し考えて、にこっと無邪気に笑い。 「見る?」 急に上着を脱ぐ。 「お、い…」 一瞬驚いたが、次の瞬間には、声も出ないほど固まってしまった。 その子供の身体には無数の傷が痛々しく残っている。 左肩には、火傷のあとがある。 自分のキズを親指で指しながら…。 「これ、母さんにやられたんだ。なんか、おれの事ジャマらしくて…」 などと言ってくる。 「…っすまない」 まず謝りの言葉が出るみずき。 こんな子供に残酷な事を言わせている自分が…。 「すまない…」 二回目、謝るが… 「なんでみずきが謝るの?ホラ、なれってそう言う事。アキラに手当、教えてもらったんだ…」 明るく答える。 服を着ながらみずきに寄ってきて… 「部屋片付けてやるから、そこに居ていいよ」 そう言うルードをみて… 「強いんだな…」 ぽつりと言うみずき。 自分があまりにも弱く情けなく感じて…。 「そんな事ないよ!おれ、すぐ人を頼ってしまうし」 軽く否定しながら、片付け始める。 それを無言で手伝うみずき。 「いいよ!みずき、おれやるから」 「もう、平気だから…ルード」 かすかに笑ってルードを手伝う。 初めて名前を呼ばれうれしくなる。 「うん、あ!そうだ、みずき、お金取られてないんだろ」 勢いよく聞く。 「え?あぁ…」 疑問に思いつつ答える。 「じゃ、さぁ。おれ、みずきの分も晩ごはん作るから、食べにこいよ」 「…料理も出来るのか?お前」 「おう!けっこう上手なんだよ!なぁ、いいよなっ」 「……しかし、お前の家は…」 「アキラん家だけど、大丈夫!ごはん作るのおれだし」 「……」 無言になるみずき、嫌がられるのが分かっているのに……。 しかし、アキラに近づく滅多にないチャンスなのだ。

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