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第42話

「アキラは入れてくれるよ、みずきケガしてるし。アキラってさ、ケガしてる奴ほっておけない性格だから…怒るかもしれないけど、大丈夫だよ!」 はやし立てる。 「……」 「ほら、アキラにも悪いって思ってんなら直接謝った方がいいよ!おれがついてんだから、なっ!それともおれの作ったごはん、そんなに食いたくねぇ?」 駄目押しを言われ… 「食べにいくよ」 頷いて、笑ってやさしく応える。 「よかった!」 すごく嬉しそうに声にだすルードを静かに眺めるみずきだった。 外はもう薄暗くなってきていた。 ルードに連れられ、みずきが大きな門がまえのアキラの家を見上げる。 ルードはインターフォンを押し呼び出す。 『あ、ルードっ遅かったな!早くキー使って入ってこいよ!』 応答したのはアキラ。 インターフォンのカメラに映ったルードの姿を見て言う。 「アキラ、遅くなるって電話しただろー、んで…アキラにお願いがあるんだけど…」 そう言いにくそうに聞いてみずきをモニターに映るように引っ張る。 『え?なんだよ。!?ゆ、ユウ?』 驚いて声を出す。 『な、なんで?』 ルードとユウが、一緒にいる事が信じられなくて、困惑してしまう。 「アキラ、おれ、学校の帰りにな、みずきが親父に殴られてるの見てほっておけなくて、金も取られて、困ってるみたいなんだ、だから、晩ごはん食べさせてあげようと思って…」 一生懸命説明するルード。 『んな…、ルード…』 いくら人がいいからって、罰撮影の相手のユウを連れてくるなんて…。 しかも、みずき、だなんて名前呼びすてにして…。 怒りと呆れの感情で、言葉に詰まる。 「ごはん食べさすだけだから!アキラに迷惑かけないし、みずき悪い人じゃないよ。アキラも言ってただろ!」 返事のないアキラに頼む。 『っ、あのなぁ』 不機嫌にいうアキラの声を聞いて… 「どうしてもと言うわけではないから…いいよ」 ルードに向かって言うみずき。 「みずき!…アキラっおねがいしますっ!おれのメシ食べてもらいたいんだ!アキラっ、頼むよ…」 頭を下げてまで頼むルードを見てアキラは… 『…わかったよ、早く家入れ!カゼひくだろ…』 納得いかない顔で、そう答える。 「ありがとう!アキラっ、行こう!みずき」 お礼を言ってみずきを招き入れる。 家の中に入って、ダイニングに向かう。 きれいな洋風の作りの室内だ。 部屋にはアキラが待っていた。 「ただいま!待ってな、今ごはん作るから!」 アキラに元気よく言うとキッチンへ姿を消すルード。 アキラは… 「おかえり…」 と答えて続いて入ってきたみずきに目を向ける。 みずきはアキラと目が合うと軽く会釈する。 「ども、そこ座ってな…まぁせっかく来たんだし、ゆっくりしていけよ…」 一応、愛想笑いをして、みずきをソファに座らせる。 そして自分も向かいの椅子に座る。 アキラが近くにいるだけで緊張してしまうみずき。 「それ、ルードに手当してもらったんだろ」 みずきの顔を見ながら聞くアキラ。 みずきはアキラの目を見れず目線を下げて… 「あぁ…」 短く頷く。 「あいつ、手当うまいだろ、料理はもっとうまいからな、残さず食べろよ」 微笑みながら、ルードの方を見て言う。 その様子を見て、嫌な予感がするが、つい聞いてしまう。 「なぜ、一緒に住んでいるんだ?」 「え、あぁ、ルードか?色々理由はあるけど、オレ、ルードの事が好きだから一緒にいるんだ」 まっすぐ嘘のない口調のアキラ。 「……そうか…」 そう思っていたが、アキラの口から直接聞くとさらにショックなみずき。 ルードが相手だなんて…ライバルにもなれない… みずきはルードのように誇れるものなど何もないから。

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