42 / 82
第42話
「アキラは入れてくれるよ、みずきケガしてるし。アキラってさ、ケガしてる奴ほっておけない性格だから…怒るかもしれないけど、大丈夫だよ!」
はやし立てる。
「……」
「ほら、アキラにも悪いって思ってんなら直接謝った方がいいよ!おれがついてんだから、なっ!それともおれの作ったごはん、そんなに食いたくねぇ?」
駄目押しを言われ…
「食べにいくよ」
頷いて、笑ってやさしく応える。
「よかった!」
すごく嬉しそうに声にだすルードを静かに眺めるみずきだった。
外はもう薄暗くなってきていた。
ルードに連れられ、みずきが大きな門がまえのアキラの家を見上げる。
ルードはインターフォンを押し呼び出す。
『あ、ルードっ遅かったな!早くキー使って入ってこいよ!』
応答したのはアキラ。
インターフォンのカメラに映ったルードの姿を見て言う。
「アキラ、遅くなるって電話しただろー、んで…アキラにお願いがあるんだけど…」
そう言いにくそうに聞いてみずきをモニターに映るように引っ張る。
『え?なんだよ。!?ゆ、ユウ?』
驚いて声を出す。
『な、なんで?』
ルードとユウが、一緒にいる事が信じられなくて、困惑してしまう。
「アキラ、おれ、学校の帰りにな、みずきが親父に殴られてるの見てほっておけなくて、金も取られて、困ってるみたいなんだ、だから、晩ごはん食べさせてあげようと思って…」
一生懸命説明するルード。
『んな…、ルード…』
いくら人がいいからって、罰撮影の相手のユウを連れてくるなんて…。
しかも、みずき、だなんて名前呼びすてにして…。
怒りと呆れの感情で、言葉に詰まる。
「ごはん食べさすだけだから!アキラに迷惑かけないし、みずき悪い人じゃないよ。アキラも言ってただろ!」
返事のないアキラに頼む。
『っ、あのなぁ』
不機嫌にいうアキラの声を聞いて…
「どうしてもと言うわけではないから…いいよ」
ルードに向かって言うみずき。
「みずき!…アキラっおねがいしますっ!おれのメシ食べてもらいたいんだ!アキラっ、頼むよ…」
頭を下げてまで頼むルードを見てアキラは…
『…わかったよ、早く家入れ!カゼひくだろ…』
納得いかない顔で、そう答える。
「ありがとう!アキラっ、行こう!みずき」
お礼を言ってみずきを招き入れる。
家の中に入って、ダイニングに向かう。
きれいな洋風の作りの室内だ。
部屋にはアキラが待っていた。
「ただいま!待ってな、今ごはん作るから!」
アキラに元気よく言うとキッチンへ姿を消すルード。
アキラは…
「おかえり…」
と答えて続いて入ってきたみずきに目を向ける。
みずきはアキラと目が合うと軽く会釈する。
「ども、そこ座ってな…まぁせっかく来たんだし、ゆっくりしていけよ…」
一応、愛想笑いをして、みずきをソファに座らせる。
そして自分も向かいの椅子に座る。
アキラが近くにいるだけで緊張してしまうみずき。
「それ、ルードに手当してもらったんだろ」
みずきの顔を見ながら聞くアキラ。
みずきはアキラの目を見れず目線を下げて…
「あぁ…」
短く頷く。
「あいつ、手当うまいだろ、料理はもっとうまいからな、残さず食べろよ」
微笑みながら、ルードの方を見て言う。
その様子を見て、嫌な予感がするが、つい聞いてしまう。
「なぜ、一緒に住んでいるんだ?」
「え、あぁ、ルードか?色々理由はあるけど、オレ、ルードの事が好きだから一緒にいるんだ」
まっすぐ嘘のない口調のアキラ。
「……そうか…」
そう思っていたが、アキラの口から直接聞くとさらにショックなみずき。
ルードが相手だなんて…ライバルにもなれない…
みずきはルードのように誇れるものなど何もないから。
ともだちにシェアしよう!