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第53話

「…ありがとう」 アキラからの初めての贈り物にお礼を言うみずき。 アキラは…… 「オレが礼のつもりでやってるのに、お前がオレに礼言ってどーすんだよ」 クスクス笑いながらみずきを見上げる。 そして… 「オレはもう帰るからな、遅いし」 カバンを持ち立ち上がる。 それを見てみずきは、ぽそっと言葉をかける。 「一緒に…」 「え?」 「途中まで一緒に帰っていいか?」 詰まりながらも、みずきなりに、かなり勇気を出して聞いてみる。 「いいぜ、その方が助かるし…」 軽く言い返す。 アキラは帰りも誰かに引き止められる可能性があるからついて来てもらえると、大助かりなのだ。 しかも、無害なみずきに…… 「お前って、バイクだよな?コウヤ先輩から譲ってもらった大きいヤツだろ。後ろ乗っけて帰ってくんねぇかな?家近いし」 図々しく、頼んでくるアキラ。 「…あ、あぁ。しかし、アキラのメットがないから…」 「借りればいいじゃん、ルキ先輩に訊けば貸してくれるぜ。な、決まりッ」 「あぁ」 勝手に決めるあたり、さすがアキラだな…と微笑する。 アキラは急に深刻な顔をして、みずきに言い聞かせる。 「でもな、あんまり飛ばすなよ!カーブとか、オレ、掴まる力ねーからマジ落ちるぜ」 「えっ!」 それは危ないだろとみずきは声を出すが。 「大丈夫だって、お前が安全運転すればいい事なんだから」 平然と言うアキラ。 「恐くないのか?」 聞いてしまう。 運転中にバイクから落ちればタダではすまないハズなのに。 「全然、ま、お前信じてるから」 「……」 不安ではあるが、アキラに信じてるなどと言われたら…嬉しくないハズがないみずき。 「早く帰ろうぜ」 「あぁ」 促すアキラの言葉に頷くみずき… そして、初めてBOUSから、一緒に帰る二人だった。 《風邪の悪戯》終

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