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第68話

アキラは少しみずきに近づき様子を見る。 「……だいぶ、顔色良くなってきたな…」 そう言ってヨシの方に向き。 「入院は1週間ってとこだけど、こいつの事だから目覚めたらすぐ帰るとか言いそーだしな…ヨシ、説得頼むぜ」 「えぇ?俺がユウを説得!?出来るワケねぇだろ…」 「いいから、やるんだよ!オレは、BOUSに連絡してくるから」 有無をいわさぬ口調でヨシに言い、病室から出て公衆電話でかけるアキラ。 みずきに、オレは意見出来ない……。 泣かすほどショックをあたえてしまったから、キツイ事言いまくるのはオレの方だったよな……。 何回かのコールの後。 『はい、BOUS事務所です…』 「あの、サクヤです」 『あ、サクちゃん!どうだった?ユウちゃんは?』 出たのはルキ先輩だ。 「はい、一週間ほど入院すれば治りますよ」 ルキの問いに普通に答えるアキラ。 『それは良かった、みんな心配してたんだよ。それに、三人とも今日の払い受け取ってないでしょ?どうする?』 「オレは次回まとめてでいいから、あと二人はまた連絡させます」 BOUSの給料は本人に直接現金払いだから。 『はい、了解。ユウちゃんによろしくね…』 「はい」 そう答えてアキラは電話を切る。 そして次は…。 「ルードに知らせないとな……」 今度は自宅へとコールする。 かなり時間があって、電話に出た。 『はい…』 ねぼけ声のルード。 「オレ。もう寝てたのか?起こしてごめん」 『ううん、何?』 「それが、鈴鹿みずきが仕事場で倒れてな…入院することになったんだ」 『えっ!?みずきが?どして!?』 アキラの言葉に、一気に眠気が飛ぶルード。 「うん、かなり吐血して皆を慌てさせたけど、今落ち着いてる。健次さんの病院にいる…だから今日帰り少し遅くなるから」 『で、どうなんだよ、治るのか?』 「大丈夫、そんなに悪くないから」 『そ、か。良かった、おれも病院行くよ!』 「だめだ、夜遅いし、家も近くないから、家にいるんだ!」 『いやだ!心配で寝れねぇよ、行くったらいくっ!』 「ルード!」 困ったように声を出すアキラだが…。 『なんて言おうと行くもんね!』 そう言いルードは電話を切ってしまう。 「ルード!ったくもォ~っ!」 アキラは唸り、もう一度自宅へTELする。 『…はい!』 大きな声で返事するルード。 「わかった!来るのは許すから途中で切るな、頼むから!」 『ふん!』 「あのな、小学生が夜出歩いてると、補導されるだろ?考えるからそこに居ろよ!」 『わかった!そうする』 「じゃ、いったん切るから、電話するまで待ってろよ!」 『うん!』 機嫌よく返事するルード。 電話を終えるアキラ。 「はぁ…」 少し溜息をつく。 「……」 途中から話を聞いていたヨシが… 「ルードが来るって?」 一言いう。 「……」 アキラは考える。 今車があるのはヨシだけだ……。 でも、みずきをほっておいて、目が覚めた時誰もいないと動揺するだろうし…。 かと言ってヨシを一人でルードの迎えにやるのは心配… ヨシはルードを狙ってるから… 「俺が迎えに行くよ」 ヨシの言葉を聞いてジロッと睨むアキラ…。 「バカやろう、信じろって、こんな時に手ェ出しはしねぇよ。夜道歩かすよりいいだろ!」 「……わかった、信じるからな!今だけっ」 アキラはそう答えて自宅へと電話をかける。 『え?ヨシ?』 「そう、ヨシはみずきのダチなんだ。……悪いけどオレはみずきの傍離れられなくて行けないから…」 申し訳なさそうにいう。 『うん、わかった』 アキラの言葉に頷くルード。 すると横からヨシが…… 「代わって!」 いきなり受話器を取る。 「おい!」 怒るアキラを無視して話はじめる。 「よー、ルード。今から迎えに行くからな、待ってな…」 『ヨシ!そこに居るんだな…ア、アキラに…?』 (おれたちの事、言ってないよね…?) 気になった事を聞いてしまうルード。 「ばーか、大丈夫だ!」 軽く答えるヨシ…。 アキラは眉をひそめる。 (何が大丈夫なんだ?) 「じゃ!」 勝手に電話を切るヨシ。 「オイ!勝手に切るなよ、それに何が大丈夫なんだよ!」 怒りながら聞く。 「なぁに、みずきのコトだよ!じゃ、行ってくる。みずき頼むぜ!」 「あ、あぁ」 不納得気味だが、今喧嘩しても始まらないのでヨシにルードの迎えを任せる。 ……車を出し、アキラの家の前までくるヨシ。 「ヨシ!こっち」 門の横で手を振るルード。 「久しぶり、早く乗れ、みずきまだ薬で寝てるけど、もうすぐ目覚めるからって!」 「おう、ヨシってみずきと友達だったんだ」 車に乗り込みながら聞く。 「うーん、友達って言うか…あいつには嫌がられてるけど、みずきは俺の兄キみたいなもんだから…」 車をだしながら答える。 「そうなんだ…じゃ、びっくりしただろうね」 「…なんか、すげぇ血ィ吐いて…このまま死んじまうじゃねぇかって…俺恐くて…」 運転しながら、そう震えた声で呟くように言うヨシ。 「でも、治るんだろ…?良かったじゃん」 にこっと笑って言う。 「あ…あぁ、そうなんだ。俺さ…ユウが倒れた時、どうしていいか分からなくなって…でも、サクヤが…アキラが、的確に指示して、奴の前じゃ言えねぇけど、心強かった…すっげぇ居てくれて良かったって…思った」 「うん、言える時になったら言えばいいじゃん…」 そう頷く。

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