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第26話

今日はなんだか、拓海と美穂との間に大きな距離があるように感じた。最近は3人でいることが多かったのに、今日はまるでタイミングを計っているかのようにどちらか1人ずつとしか同時に会話をしていない。 何かあったとしたら、昨日の放課後のはず。あの後一体、2人は何を話していたんだろう。 気にはなるが、どちらからも相談されていないのに詮索するのもどうかと思った。それに少なくとも拓海なら、相談事があれば一番に僕に話してくれる。その拓海が自分から話さないということは、大丈夫だと信じていいってことだ。 違和感は勘違いではなかったようで、結局1日中3人で話すことはなかった。 放課後だって、いつもなら「先に帰るね」の一言くらいあるものを、気が付いたときにはもう拓海は居なくなっていて。 今日は金曜だというのに、もしかしたら彼の方こそ約束を忘れているのではないかと疑いながら、仕方なく美穂と一緒に帰ることにした。 しばらく歩いて、彼女がふと口を開く。 「千秋くんと拓海くんって、いつから一緒にいるの?」 そんな今更すぎる問いに、やっぱり2人の間に何かあったんだろうと感じた。 「話したのは小学校の時が最初かな。家が隣だから、ほんとはもっと前に面識があったんだろうけど」 「えっ、拓海くんと家隣だったの!?」 「うん。だから拓海は僕にとって、ほぼ弟みたいなもん。今だって……昔はよく、僕の家に泊まりにきたりもしてたし」 何となく今も泊まっているというのは恥ずかしいような気がして、言いかけた言葉を隠した。 「そっか、本当に仲良しなんだね」 彼女は少し目線を上げ、淋しげに言う。 拓海と何かあったのか?そんな言葉が喉まで出かかったが、もうすぐ別れる場所だったため口に出すのはやめた。 「またね」 彼女と別れて手持ち無沙汰になり、半ば無意識にスマホを開く。そこには拓海からのメッセージの通知がきていた。 「まってる」とだけ送られているのが、いかにも彼らしい。 どうやら約束を忘れられていたわけではなかったようだと安心する。「OK」を表すスタンプを押して、少しだけ歩調を早めた。

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