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○第35話○

なんで千秋ちゃんはこんなに優しいんだろう。 なんで千秋ちゃんの言葉は、僕の心にまっすぐ届くんだろう。 ……信じられる。千秋ちゃんの言葉なら、不確かな「好き」だって信じていいと思える。千秋ちゃんだけは、ずっと僕の隣に居てくれるから。 「愛してる」と「信じるよ」を込めて、僕はもう一度彼と唇を合わせた。5秒にも満たないそれは、今までで一番重い意味を持つ。まるで誓いのキスのように。 「千秋ちゃん、愛してる」 あえてそっちの言葉だけを口にして、彼の纏う残りの服に手をかけた。 「もう、やめないからね」 そう宣言して、ゆっくりと肌色の面積を増やしていく。それを隠すためなのか、彼は身体を横に向けようとした。しかし、チャリチャリと鳴る「証」のせいで完全に僕の目から隠しきることは出来ない。 「そんなことしてもムダなのに」 「だって、拓海は全部着てるのに僕だけ脱がされるなんておかしいだろ!」 固定された手首をスッとなぞれば、彼は背けきれない真っ赤な顔で叫ぶ。 「なに、千秋ちゃんも早く僕の裸が見たいの?」 「ちがっ、そういう意味で言ったわけじゃ……」 わざと彼に意識させる言葉を投げ、まずは上だけを脱ぐ。目をつぶっていればいいのに、彼はじっと僕を見つめたまま。 ベッドに散乱したままの邪魔な服たちを投げれば、床の上にバサバサと音を立てて落ちた。 「千秋ちゃんはココ、触ったりするの?」 そう言って彼の中心に軽く触れる。 「なっ」 質問に対してか、そこを触ったことに対してなのか、彼は大袈裟に驚いた。今までのどの女の子たちよりも純粋な反応で、改めて千秋ちゃんを可愛いと思う。 「そういえばこういう話はあんまりしたことなかったよね。ねぇ、普段はどうやって触ってるの?」 意地悪くそう聞けば、彼はますます顔を赤に染める。 「……言いたくない」 拗ねたようにそう言う彼は本当に可愛くて。最初から答えよりも反応を期待していただけの僕は、高揚する気持ちそのままに本題に入った。 「そっか。じゃあまずは僕がヌいてあげるね」

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